つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

監察医朝顔第1話感想〜第1話からの彼氏と別れないでね!絶対絶対別れないでね!〜

 

主観による評価

★★★★☆

 

マイナスポイント

  • 感動的なBGMを長々と流すところ
  • 東日本大震災の映像を流すことを警告しなかったこと(※公式サイトにはあるが、誰もが公式サイトを見るわけではないため)
  • 月曜日から激重。ルパンの娘と枠交換できなかった?

プラスポイント

  • 上記以外!

 

「なかったことにはしない」というフジテレビの考えには賛同する。そして、まだ震災は終わっていないことを東北地方以外の人間にわかってもらう機能も持たせていると思う。誠意をもって、真正面から描いているとも思う。

ただ、本当にトラウマになっている人が多い中で、ドラマの最初に注意書きも何もしなかったのは良くなかった。

「3/11の週のメモ」「8年前」などのキーワードから連想させること(ドラマの伏線としてにおわせること)を優先したのだとしたら、それは間違っていると思う。まだ8年しか経っていないのだから。同時に、もう8年も経って、ここまで描けるようになってしまったのかという思いもある。

私でさえ、過去のこととは思えない。8年前、海岸線、3月11日の付近で終わっているメモ、それだけであの日の津波を思い出す。あの日のことだと誰もが思いつく。心の中についていた悲しみの染みが、じわじわ広がっていくような感覚。

フジテレビが、震災に真摯に向き合っていることは充分伝わった。だからこそ、事前にもっと告知しておいてほしかった。放送前にバレたらつまらないネタバレ扱いするよりも。

↑どうやら、原作では阪神淡路大震災らしい。改変自体は正しいと思う。若い子たちは阪神淡路大震災にピンとこないだろうから。

※ちなみに、楽天koboで3巻まで無料だったため、あらゆる漫画アプリ・電子書籍サイトで3巻まで無料になっていると思われる。

 

ただ、この点を除けば本当にいいドラマだった。

震災シーンも、ただ出来事だけを重ねているから、より悲痛に感じられる。あの日が奪った人たちは、その一人一人が誰かの大切な人だったはず。そして、遺された誰もが、その人との最後の会話を、それが最後だとは思わずに済ませてしまった。多分きっと今も全世界で起きていること。震災じゃなくても。

今回取り上げられた事件も、全く同じだ。

誰だって、それが最後の会話になるなんて思っていない。

 

1番良い点として、私は、朝顔が犯人確保に関わらなかったこと(父親からさらりと事件の顛末を聞くだけだったこと)を挙げたい。

警察の地道な捜査。監察医の地道な観察と考察・実験。

派手でもない、奇抜でもない、天才もいない。

今どき珍しく地味で、淡々としたドラマ。緊迫感のあるBGMがかかる場面もあまりなさそう。

だからこそ、じっくり考えながら見ることもできるし、逆に何も考えずに見ることもできる。

ある意味テレ朝ドラマの5クール目のような安定感がある。むしろテレ朝ドラマの方が派手だ。

監察医の話だから、毎回誰かの「死」から始まる。それだけで悲しみを伴う。どれだけでも悲しく描写することはできるが、事実を淡々と描き、モノローグを交えずに捜査・観察する様子をただカメラで写すことによって、ドラマの世界だけの出来事ではないと視聴者に突きつける。

ほのぼのとして、淡々としているように見えて、父と娘は重い過去にとらわれ、そして「誰かの死」から始まる以上全員が悲しみを扱う。時間の経過と共に、一人一人の「やるべきこと」が機械的に重なっていくだけ。他人の死を、悲しみを、役割分担で淡々とこなす様子はある意味で業務的で、冷たい。でもみんな一生懸命向き合っている。そして次の役割の人に託す。実際にこういうことが行われているんだろうなと、素人の私に理解させる。

「行動の羅列」にとどめることで、こんなにも、自分にも起こりうることだと痛感させられるとは思わなかった。電車で隣に座るおじさんも、高校生も、地道に毎日職場に通っているだけに見えて、テスト勉強に追われているだけに見えて、いつも悲しみと共にいるのかもしれない。隣人がそうかもしれないという想像力を持たないと、優しくなれないのかもしれない。

 

他にもたくさん良いところはある。

まず、同僚たちが足手まといではないところだ。

2話から登場する志田未来は掻き乱す役のようだが、そういう役割を持ったキャラが存在すること自体は良くて、「集団」として主人公の足を積極的に引っ張らないことに安心感がある。

ラジエーションハウスも同様の理由で安心感があった。

次に、上野樹里の演技。

日常の穏やかな会話は自然体で、どこの家族も、カップルも、職場も、こんな感じだよなと思わせる一方で、駅に着いた瞬間、音を聞いた瞬間、全てを思い出し、溢れ、足が動かなくなってしまう表情。思い出す。感情がこみ上げる。無理だ。ここにはいられない。

それが嫌という程伝わってくる。

上野樹里はのだめ以来という人もいるのではないか。そういう人はギャップに驚いていそう。

 

父親について

娘の出かける相手が気になる、一般的な父親。尋問口調で問い詰める、職業病が抜けない父親。でも、答えなくても怒らない。優しい父親。

家事は分担していて、ビールは自分で注ぐ。部下にもフラットに接する。令和の父親、令和の上司だと感じた。

2人のありふれた会話が静かに流れるシーンは、こちらも感情を波立てることなく見られた。

母親を失ったからこそ穏やかな日常を送ろうと心がけているようにも感じられる。お互いがコミュニケーションを大切にしていることが伝わってくる。

娘が自分を責め続けていることを知っているから無理に連れていかない。だけど、自分は妻を探していないと崩れ落ちてしまいそうになる。現場にいるとフラッシュバックしてしまう娘と、悲しみの表れ方が違うだけで、同じだ。

広範囲の捜索のスピードが早いから桑原くんが驚いたのか、それとも8年間海岸を探し続けたから捜査における広範囲の捜索も上達したのかはわからない。

悲しみを煽る演出はない。でも、広い地図を少しずつ埋めていることが伝わる。その地味な描写が、淡々としているからこそ、悲しい。

 

恋人について

最初から付き合っているなら、重いドラマの中の清涼剤としてのラブコメはなさそうだな…と思っていたが、ラブコメはないが桑原くんがポンコツで可愛らしくて癒された。

「ふつう」と言われ、異常な量のラインを送ること。おばあちゃんの言葉が聞き取れずヤケになってしまうこと。(あのおばあちゃんのひったくり、伏線だったんだな…。)

それでいて、もんじゃ焼きのシーン、朝顔を見る目が本当に優しい。この人は優しい人だとわかる。一生懸命で、人の気持ちを考えられる人だ。

しずかちゃんのお父さんの言葉を借りれば、多分彼はのび太くんのように、人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だと思う。

また、朝顔と桑原くん、仕事相手としての顔と恋人同士としての顔が見られるのがとても良い。

しかし、物語開始時点で交際していると別れてしまうことが多いと知っているドラマファンが皆怯えているのが面白い。

前クールで最終話まで付き合っていたカップルの別れに傷ついたばかりなので…。まだ傷癒えてない。

優しい。食事のシーンが楽しそう。癒される。だからこそ諏訪巧を思い出してしまう。優しくて食事のシーンが楽しそうで癒されていたから…。だからもう別れてほしくない。

↑アンナチュラルの時もこれ言ってた(笑)1話であっさり別れてくれて、傷が浅くて済んだ。

↑次回予告。

 

その他

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笑った。

大分雰囲気変えたな…。

私もこれくらいの気持ちで見ていた。

隣にある悲しみを、人はいつも言葉にして悲しむわけではない。「悲しかったね」と話さなくても、いつも悲しみは二人のそばにある。

これはミステリードラマじゃない。父親を疑うでない。

 

 

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