つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

湯神くん16巻(最終巻)が発売された※分厚いカプ厨フィルターのかかったネタバレあり感想

過去の記事

湯神くんにプロポーズをしてほしい

湯神くん最終回感想(カプ厨フィルター)

 

湯神くん、ありがとう

私が読み始めた時、既刊1巻。

なんだこの偏屈な男はと思いながら追い続けた。どの巻にも思い入れがある。周りから疎んじられる高校生を愉快な気持ちで見つめた。

「ぼっちになるのではない。ぼっちでいるのだ。」

この単行本帯の言葉通り、湯神くんは一人になってしまったかわいそうな子ではなく、一人でいることを積極的に選んでいる自由な子であり続けた。

「一人でも楽しめる」ではなく、「一人でいることそのものを楽しめる」ことを体現していた。彼は選んで一人でいる。彼は、一人でもいいのではなく、一人がいいのである。

湯神くんを見ると元気になるちひろちゃんの気持ちもわかる。人を必要としないことがこんなにも楽しそうな人、他にいないだろう。勇気付けられもする。

だから、物語が終わってしまって寂しい。本当に寂しい。湯神くんの新しい生き方がもう見られなくなる。いつかこの日が来るとわかっていたはずなのに、まだどうしようもなく受け入れられない。

こういうとき、湯神くんならどうしたかな。これだと、湯神くんはどう遊んだかな。それがもう二度と見られない。

これがいつか当たり前になっていくのも寂しい。

 

きっと、落語を見るたび思い出すし、真夏の高校野球を見るたび思い出す。

偏屈だけど、自分に必要なものをきちんと見極められる、そして本当は優しい湯神くんのことを。

そして、最後には人と一緒にいることを厭わなくなった、少しだけ変わった湯神くんのことを。彼を変えたちひろちゃんのことを。

そしてそのたび、寂しくて懐かしくて幸せな気持ちになる。私にとっての「湯神くんには友達がいない」は、そういう漫画だった。

 

 

 

以下、避難レベルの恋愛脳満開の感想。

 

 

 

 

 

 

描き下ろし感想

いや奇遇じゃねーじゃん運命こじ開けてるじゃん…。

「奇遇だね」って嘘つくなんて、本当に湯神くんだろうか。「やあ、待ってたよ」と言う男のはずだろう。

これが久住さん相手なら、待っていたことを素直に言ったような気がする。そういう人間だと私は16巻かけて受け取った。だから、要するに、「奇遇」のフリをした時点で、友達以上の思いがあったんじゃないかと思うのである。自覚していて気持ちを隠したのか、無自覚に奇遇のフリをしたのかはわからないけれど。(おそらく後者…というか、ストーカー扱いされたくなかったとかだろうけど。)待っていたと知られたくなかった、「この人」には。恥ずかしかったんだろう、自分が楽しみにしていたことを知られるのが。

…というのは色ボケ解釈すぎるかもしれない。

でも、奇遇なわけがないのに奇遇のフリをするという、ある意味いつもの湯神くんではありえない発言をしてしまう、誤魔化したくなる相手なんだろう、ちひろちゃんは。いつものマイペースではいられなくなる相手なんだろう。たしかに、友達ではない。

 

とりあえず、携帯電話がなくても、どんなに長い間遠く離れていても、彼は能動的に二人の運命を強引に切り拓ける人だということがわかった。

連絡先を知らなくても、ブランクがあっても、自分から会いに行ける。偶然なんか待たない。機会は自分で作るもの。それがわかっていることがカバー裏でわかったから、もう不安はない。

行動できる人だからきっと二人の未来は明るい。喧嘩しても謝りに行くだろうし、もう会いたくないと言われても恥ずかしそうな顔をしながら会いに行くだろう。…多分。

 

やっぱり湯神くん、ちひろちゃんが住んでいそうな地区で配達していたんだと思う。あんなに待っていたのに「奇遇だね」と嘘をついたのだから、配達で会ったのも奇遇のフリをするだろう。

でも多分探していたよ。思ったより時間がかかったけれど、会えてよかったね。ゆっこちゃんにお願いするんじゃなくて、自分で探したんだね。それもまた一つの彼の能動的な行動だ。

しかし結構ストーカーすれすれだな…。

ちひろちゃんが鈍くてよかったなあ。

 

  • いつでもアザラシと野球を見るちひろちゃん

「ピッチャー交代のタイミングおかしくない?」ではテレビの方を向いているのに、「もーっ!」のときにはこちらを向いている。

湯神くんのメタファーだと思う。(分厚い色眼鏡)

 

  • チケットをなけなしの金で買う湯神くん

いやそうだと思っていたよ。

思っていたけど、なけなしのお金で一人で見に行っていたことが実際に書かれると、それでも二人分のチケット代を捻出するんだ…と感動する。そしてそれを悟らせない。ものすごくギリギリなのにそれでも落語に誘う。愛だ。

 

  • 「それなりによく思い出していた」湯神くん

名前でも思い出すし、名前じゃない象徴的なアイテム(羊毛フェルト)でも連想するなんて、なんだそれ。よく一年も会わなかったな。

そばにいなくてもいつでも相手をくっきりと思い出せるから実際に会う必要はなかったのかもしれない。なんだこれ。本当に友達じゃないのか?

落語以外で、生身の人間を思い出して一人で笑うような人間になったんだ。

他の人のことを思い出してこんなに笑うだろうか?門田のことでも笑いそうだな。

 

  • ニヤリじゃなく笑う湯神くん

部屋で笑うのもそうなんだけれど、ちひろちゃんのことで笑うときはとても素直に笑う。

チケットを見つめながらニヤついていた湯神くんの口も、優しく笑う。ちひろちゃんに話しかけるぞと思ったら、楽しくなってきたのかな。

「すごーい」と喜ぶ顔が見たかった湯神くん…でも友達じゃない…(わからない…)。

 

  • 会う日が増えた二人

どうやって誘うのか教えて欲しい…。(未来がちょっと覗ければ満足だった人間が強欲になっていく様)

落語という目的なしに会うのは…それはストレートにデートでは?

多分、ちひろちゃんは「落語じゃないんだし払うよ」と言う。

湯神くんは家計が厳しいのに「いや俺が払うよ」と言うのだろうか。それとも、対等に割り勘するのだろうか。とても気になる。

いずれにしても、金欠だからと断ることはなさそう。

 

 

読む前

読んでから

 

後日の妄想