つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

凪のお暇第2話感想〜もはやバラエティの高橋一生の笑顔を信じられなくなりそう〜

主観による評価

★★★★☆



映像の安心感

このドラマは、構図やカメラアングルが優れていて、視聴者を退屈させないなと思う。
それを演出というのなら演出が素晴らしいんだろう。 また、演出について言えば、笑いどころやツッコミどころの積み重ねが、漫画原作なのにくどくないところも良い。漫画の表現をそのまま真似することだけが実写化ではないとよく理解しているんだろう。
くどいことが悪いわけではない。くどくても面白くなることはあるだろう。HEAVEN?は重ねるタイプだと思う。ただ、あの重ね方が私は苦手なだけで。

↓他の「このアングルいいな〜」と思ったシーン


「大人になる」って何だろう

2人の様子を見ていると、「大人になる」ってどういうことなんだろうと考えさせられる。空気が読めるようになることだろうか。人といるとき我慢して、人がいないときに息継ぎをすることに折り合いがつけられるようになることだろうか。じゃあ凪はあのまま会社にいた方が良かったんだろうか?うららちゃんは嘘をつき続けるべきなのか?そうじゃないだろう。
息苦しさの中で生き続ける必要はない。でも、息苦しさの中で生き続ける人を否定しない。でも、そういう人を受け入れられる、「逃げてもいいよ」と伝えられる物語。他の人の息苦しさと向き合って、深呼吸してみようと提案できる物語。
宗教やマルチ商法って、その言葉を聞いただけで否定的になりがちだ。でも、人の心が救われるなら、それも1つのあり方なんだろうな。そんなミルクみたいな男の人が隣に住んでいるんだから、惹かれるのも必然だな。人生も甘くして食べられたら楽なんだけど、それができないのが凪であり、この物語を見つめる大人たちなんだろう。生きづらさを抱えない人なんてきっといないから。


凪はまだ1人の力で振り払えない

凪、モラハラ被害者であることは確かだけれど、凪じゃなかったら慎二はあそこまでひどくならなかったんじゃないかと思う。(モラハラはされる方も悪いという話ではない。)
凪の、母親との生活で培われた性格が、慎二と最悪の化学反応を起こした結果があのこびりつく足跡だった。凪の態度を見て、俺はもっと言ってもいいと慎二は思った。
他の人とならうまくやれるだろう男女が付き合ってしまったばかりに傷つけ合う様子ほど見ていてつらいものはない。

そして、ババ抜きのシーンで、凪はまだ慎二を自分1人の力では振り払えないことが浮き彫りになった。まだ呪われたままだ。
ゴンさんの手助けがあって、やっと声が出せる。
でも、これは、モラハラに1人で立ち向かわないでいいというメッセージでもある。
モラハラって空気的な威圧感だから、言われた言葉をそのまま文字にしても苦しさが他人に伝わらないことが多い。

だからこそ、誰か他の人に断ち切ってもらう方がいい。(モラハラは権威に弱いから、上の人だともっといいらしい。)


高橋一生の笑顔のレパートリー

この人の演技を見ていると、「目が笑っていない」の意味がよくわかる。目って、本当に笑わないんだ。
そして、バカにした笑い、遠慮がちな笑い、泣きそうなのに強がった笑い、全て違う。笑顔を貼り付けるシーンは、貼り付けた瞬間がわかる。この人笑っていない。細かすぎる。
特に、冒頭のバーのシーンがすごかった。高橋一生じゃなくて、女にふられて強がる男に見えていた、本当に。一瞬。↑ここ。

高橋一生の笑顔が怖いツイート。

そして、それを演じきる高橋一生はすごいなと思う。

あと、前回の感想でも書いたけど、高橋一生本当に声が違う。喋り方が違う。
ラストのシーンで凪に思いの丈を伝えようとしたシーン。第1話冒頭の空気の説明の時のように聞き取りやすさを優先しているわけではなくて、感情が先走って、空気が先に漏れてしまうような話し方。営業モードじゃなかった。こういうシーンが本当に、ただの1人の素直になれない男にしか見えない。

高橋一生が、どうしようもなく我聞慎二にしか見えない。バラエティで何度も見ているはずなのに、この人こんなに人を威圧する人だったの?カルテットの役はなんだったの?僕らは奇跡でできているは?嘘だったの?(演技だから嘘だよ。)そんなふうに混乱してしまう。今までに見た高橋一生の演技が思い出せなくなりそう。
今後バラエティを冷静な目で見られる気がしない(笑)

頑張れ慎二!負けるな慎二!


「オモシレー女…」なゴンさん

凪ちゃん面白いって言うたびに、夢小説だ…と思った。
あなたの周りにいる他の女とは違うところを見せつけて、面白い女と思ってほしい。わかる。(わかる?)


心の中で愛していれば許されるのか

どんなに切ない想いが胸にあっても、どんなに愛おしいと思っていても、大人の世界では言葉にしたことが全てだから。
我々は、言葉にできない慎二に本当は同情してはいけない。漫画だと、よしよしお前も素直になれなくて苦しいんだねと言ってあげたくなるけれど、高橋一生が演じているのは我聞慎二というよりも「そこらへんにいる外面のいい男性」だとすると、我々はやはりかれのやり方を肯定してはいけないんだと思う。
言葉にしなかった時点で、現実では負けだ。モノローグを読んでもらえるわけではないんだよ。


オネエの扱い

以前、行列のできる法律相談所のオネエ特集で、所謂「オネエ」が、経営しているお店で「男の気持ちも女の気持ちもわかるだろうからそういう視点のアドバイスを求められる」が、「むしろどちらの気持ちもわからない」と困っていた。

このドラマも、ゲイバーに行けば人生の正しい指標が見える、ゲイバーの「オネエ」は正しいアドバイスをくれるという偏見に基づいているような気がする。

俺のスカートどこ行った?第1話感想記事より

「オネエ」の言うことは的を射ている!という偏見に基づくオネエの相談相手の存在が個人的に苦手なんだけれど、凪のお暇は程よいなと思う。
人として叱責しているだけで、「オネエという男と女の間の存在だからこそフラットなアドバイスをしている」わけではないから。
この辺りはかなり感覚的で、本当に個人の好みの問題なんだけれど、こういうところで「ウッ」と引っかからずに視聴できるのはストレスがなくてありがたい。そういう意味でも私にとってはいいドラマ。



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