つちや(仮)

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監察医朝顔第3話感想〜フジテレビ!やればできんじゃん!〜

 

主観による評価

★★★★★

 

心が温まったのはもちろんだけど、フジテレビが3話を自粛した上でお蔵入りにせずに「見られる形」にして見せてくれたことが何よりも良かった。見せてくれてありがとう。

物語の展開上省略できない回だったというのもあるだろうけど、今回の放火事件で、私たちは「35人が亡くなった」ことしか知らない。その裏で、遺体を見なければならなかった人たちがいたことまですぐには想像できない。だからこそ今この回を放送してくれて、私たちに想像させてくれて、本当にありがたかった。

↑第1話時点でのフォロワーとの会話。

第1話で、身近でも起こりそうだなと思っていた。でも、本当に起こるとは結局思っていなかったことに気付かされた。

 

 

フジテレビの配慮

本来、こんな見出しつけなくて済めば良かったんだけど、起きてしまった事件は仕方ない。それでも配慮して放送することを選んだことには意味があるだろう。私たちは、放火事件の解決の裏側を知る必要があった。今。煤で汚れる作業着、性別がわからなくなるほど傷ついたご遺体。これを何回も繰り返したんだろう。みんなで遺体の同定を行うシーンも。身元が明らかになるたびに苦しんだんだろう。

おそらく「ガソリン」を「薬品」にして、焼死体も見せず爆発シーンも見せず、それでも放送してくれた。逆に、見えない分想像することになって、「性別がわからないということは…」「身長で判断するしかないということは…」と、その重みを痛感することになった。普通の刑事ドラマの背景に、こうやって苦しい作業をしている人たちがいた。

↑いつもよくわからないことするけど、今回は本当に…よかった…。疑ってゴメン!経緯と配慮が素晴らしかった。

逆に尺が足りなくて、いつもは冒頭にある食事シーンが話の終わりにきたのだろうか。(今回は親子じゃなく桑原くんとの食事だけれど。)もしかすると、第4話の冒頭だったのかもしれない。(今回の終わりはOP前っぽかった。)

「食事」と「会話」から毎話始めるつもりだったのかはわからないけれど、もしそうだったのなら、その「お決まり」を曲げてまで編集することを選んだんだ。すごい。

 

 

ストレスフリーなドラマ

平さんの行動(桑原くんを本部に)の意図もわかったし、結婚も認められたし、みつこもすぐに馴染んだ。特にみつこは、まだまだ衝突するかと思っていたら、失礼な後輩で落ち着いた。

仲間との衝突が少ないのはありがたい。ドラマの本筋を追う際のノイズが少ないから。

結婚反対も1話跨いだだけですぐに終わってくれた。来週に持ち越す不安要素は少ないに越したことはない。聞いているかボイス。

仕事が分担されているのも良い。

桑原くんがいろんな人に認められるのも良い。共感性羞恥が刺激されると辛いため、できる限り失敗は少ない方が良い。

 

あと、山口智子

朝ドラの役柄と近いこともあって、色々な記事で叩かれている。演技が1人だけ昭和だとか、昔のテンションのままだとか…。「こんな演技しかできない」「自分が若かった頃を引きずっている」。

でも、今回の月見酒(水)のシーン、本当に本当に良くて、山口智子でよかったなあと思った。「いつもの山口智子の演技」だからよかったなあと思う。(このシーンは多分あらゆる電子書籍サイトで無料になっている「監察医朝顔」1〜3巻に含まれているので是非読んで欲しい。)

月を見てお酒を飲む、お酒で事件を洗い流して明日も生きていく、山口智子ってそういう女優だなと思った。正直、苦手なところもある。でも、他の演技も見てみたいなとも思う。

余談だが、戸次重幸の上司役もめちゃくちゃ良い。

 

 

「いざというときそばにいられない男だけど、それでもいいか」

「桑原くんなら話は別」なのは、自分と同じ刑事だから。いざというときそばにいられない男であることをお父さん自身が一番よくわかっているから。
一番そばにいてあげたいときにそばにいてあげられなかった。(中略)
同じ思いを娘にさせたくない。
災害が起きた時、事件が起きた時、家で震えて一人で待つ娘のことを思うと、災害でも事件でも市民のために動くことを求められる職業じゃない男と一緒になってほしいだろう。肩を抱いて一緒に不安と戦う人と結婚してほしいだろう。桑原の頑張りと、正義感・責任感を見ていると尚更。きっと、この優しい男は、市民を優先できる立派な刑事だとわかっている。だからこそ、その裏に一人で待ち続けるだけの娘の姿が見える。父親として賛成できないんだろう。

監察医朝顔第2話感想記事より

でも、平さんだって本当はわかっている。自分と妻を見て育った朝顔は、刑事の妻がどうあるべきかよくわかっている。その上でこのちょっと頼りなさそうに見える男を選んだと。朝顔は、電話がかかってきたらペンとメモが必要だとわかる。それだけ父と母を見てきたんだろう。

災害が起きたら、事件が起きたら、1人になる。もしかすると、生まれてくるかもしれない子供と2人で震えてパパを待つことにもなるかもしれない。それをわかった上でこの人を選ぶのはどれほどの覚悟だろう。

そんな優秀な刑事だった人が、異動してまで探している。あの日、一緒に行っていれば、探さなくて済んだかもしれない。多分永遠に後悔する。

そんな思いをさせたくない。朝顔に、見つけられなくて孤独な思いをさせたくない。

だから、そんな平さんに認められたからには、絶対に、後悔するなよ!旅行にはついていけよ!優先しなくていい仕事は優先するなよ!

あんな情けないところを見せてもプリプリしながらお味噌汁用意してくれるんだぞ!絶対に大切にしろよ!そして幸せになってくれよ!2人ともだぞ!お前も幸せになるんだぞ!怒りながらもお味噌汁用意する人と、怒られながらも「ちょっとだけ…」って言えちゃうような人だから、きっといい家庭になるよ。絶対事件で死ぬなよ。

 

最初は、上野樹里風間俊介では身長が…と思ったが、このドラマにおいてはこの2人で良かったと思う。

どこにでも起こりうる話だから、福士蒼汰石原さとみではダメだった。キラキラ輝く美男美女ではいけなかった。世の中のカップルの大半は、「普通」で、すれ違っても気づかないカップルで構成されているから。(上野樹里風間俊介だと気付いちゃうけど…。)

↑いつもこんなんなのかな?かわいい。

 

 

 

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