つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

凪のお暇第5話感想〜ゾンビランドナギ〜

主観による評価

★★★★☆

 

メンヘラは…戻れる…!

 

 

会いたいと空気を読んでしまう女

凪とゴンさん、世の中に無限にいると思われる、忙しい男と忙しくない(暇な)女のカップルと同じ構図だと思った。強いられていないのに、合わせてしまう。

そして多くの場合、忙しくない女の方が愛情が重い。理由は簡単である。忙しくない分、彼のことを考える時間が彼よりも長いからだ。

こういったカップルの場合の問題点は以下である。

  • 相手のことを考える時間 女>>>>>>男
  • →相手への愛情の重さ 女>>>>>>>男
  • 相手のために使える時間 女>>>>>>>>男
  • 一緒に居ない時の相手のことを思う度 女>>>>>男

にも関わらず

  • 会う時間を決める主導権 男>>>>>女

効率を考えれば、忙しい男の空いている時間に女が合わせるのが一番良い。女がこの日を空けておいてと要請しても、仕事で…疲れてて…などと言われたらどうせ通らない。

男は、相手のことを考える時間が少ないから、会えなくてもそんなに困らない。(そんなことはないだろうけれど、会えなくてより困るのは女の方だろう。)(また、「はあ?なんで会えないの?」と言う人もいるだろうけれど、そういった男の問題点は別で、モラハラ方面になるため、今回は割愛。)「無理ならいいよ」とさえ言うかもしれない。

でも、女は、相手のことを考える時間が多いから、会いたい。だから予定を入れずに待っていたり、済ませるはずだった予定を取りやめて男のための時間にしたりする。

無意識のうちに、優劣関係ができている。


合鍵を返す前の凪とゴンさんも同じだろう。

ゴンさんは支配的なつもりはない。凪も空気を読んでいるつもりはない。ただ会いたいだけである。

でもその、会いたい気持ちと、ゴンさんと凪の忙しさの圧倒的な差が混ざった結果、凪はまた空気を読む女になってしまった。

慎二の言う通りである。

「寝た方がいいかもね」と言ってくれたゴンさんに、本当は寝たかった気持ちを後回しにして散歩に賛成しようとする。

用法用量を守れという言葉を思い出したけれど、多分、この言葉を思い出さず、慎二の説教もなければ、散歩に行っていたんだろう。自分の時間を、使ってあげたいから。一緒に居たいから。

相手と会うためには自分が合わせなくては、ここで合わせられなかったらどうなっちゃうんだろう?それが依存の始まり。

凪の場合、特に、「私が消えてもゴンさんは困らない」「他の女の子がいる」と思っている。自分が取るに足らない存在であることを突きつけられるのも嫌だから、合わせるしかないのである。「凪ちゃんが居ないなら他の女の子でいいや」と思われ、いつしか忘れられることが怖い。取って代わられたくないから、他でもない「私自身」を求められた時にはできる限り応じたい。他の用事を捨ててでも。都合悪いと思われたくない。それが、前と同じ、「空気を読んでいるだけ」に過ぎなくても。


もちろん、凪にとってのセックス(承認欲求の充足)とゴンさんにとってのセックス(生理的欲求の解消)の意味の違いも大きい。

ゴンさんがセックスを凪ほど重視していれば、よかったのかもしれない。でも多分そうじゃないからメンヘラ製造機と呼ばれるほどそういった行為を続けていられるんだろう。

 

 

役者の素晴らしさ

本当に、どうして年齢だけで判断して心配などしていたのだろう。

安定した演技力と優れた脚本があれば原作のイラストそのままである必要などないと毎話痛感している。

今回特に思ったのは、雨の中のシーン。

張り上げないのにこんなにも空気が揺れるような声で強さを表現できる。

演技であると忘れる。この人は誰だろうか。

声を張り上げて凪に怒りをぶつけるシーンではない。悲しい方向に進もうとしている凪への同情と、止められない自分への怒り。

どうして自分を大事にできない?どうして「自分を大事にしろ」という言葉では行動が変わらない?そんな自問自答と後悔のシーン。

高橋一生が憑依型かどうかは知らない。役に共感するタイプなのか、理解できなければ理解できないまま演じるタイプなのかは全くわからないけれど、それでも高橋一生に、「自分と凪に腹を立てている男」が憑依しているような気がする。(個人の感想)

笑わないと!と思った時と、心から超笑った時はシワが沢山出る。営業で頑張って笑おうとした時はちょっと出る。出ない時は営業の通常モードか?

高橋一生の顔のシワだけで1時間考察していられる。

 

今回はゴンさんも良かった。他の回が悪いというわけではない。

いつものゴンさんは「何を考えているのかわからない」「常に意味深な表情」「次に何と言うのかわからない」表情をしている。

でも、凪の例えが理解できないときの表情。

わからなくて、楽しい。子供みたいな表情。もはや中村倫也の素なのでは?と思うレベル。

意味深じゃない顔と意味深な顔が違うの何?怖い。どこからどこまでが演技なんだろう。もしかするとバラエティでも演技してる?

 

そして、ここまで書いて気づくことは、それぞれの役者の存在感に負けない凪役の黒木華がすごいということ。

「あー今の黒木華出ちゃってたな。」と思う瞬間がない。

脇を彩る女優たちも全員良い。本当に好き。

このドラマが終わる日がいつかくる。悲しい。さみしい。

 

 

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