つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

凪のお暇第7話感想〜高橋一生じゃなく愛されたかった我聞慎二が泣いている〜

主観による評価

総合 ★★★☆☆

高橋一生 ★★★★★★★★★★★★★★★

 

この高橋一生がヤバイ!2019

毎話毎話高橋一生すご〜いって言ってたけど、今回本当に極まっていた。

今日、高倉健菅原文太の服役直後のビール飲む演技の映像がリツイートで回ってきたんだけど、あれ高橋一生で見たいな。全然関係ない話だが。

 

明確にフラれたシーンの声がすごい。露骨に震わせているわけじゃないのに泣きそう。

本当に空気が薄くなったかのような営業トークのシーン。

苦しそうな演技は多分多くの人ができる。

でも、あのシーンがすごいのは、少しずつ少しずつ酸素が薄くなっていくことがわかること。苦しさが少しずつ増していく。酸素の量がちょっとずつ減って、気づいた時には戻れなくなっている。

このシーンももちろん良かったが、何より最後の号泣シーンである。

もう身体中で演技してる。血管まで演技してる。

このシーンで、慎二は凪に母性を求めていたことがとてもよくわかった。甘やかして欲しかった。本当の自分を本当は本当はずっと見せたかった。でも見せられなかった、今までと同じように自分を守ってしまった。それをずっと後悔していたのに、体調が悪くならないと出せなかった。プライドもあって。それが涙と一緒に溢れ出てきてしまった。…ということがわかる泣き方だった。

この泣き方が特別「母親を求める子供のよう」だとわかるためには、普段の泣き方がそれ以外の泣き方である必要があった。

今までの号泣でもなく、雨の日の涙でもない。全く別の泣き方である必要があった。そうでないと、弱り切って「初めて」出てきた心の底のさらに底に眠っていた本音だとわからないから。あの気持ちで泣くのは今回が初めてだと、視聴者に泣き方一つで理解させた。

号泣しながら歩く立川からの帰り道が嘘だったわけではない。あれも本音だった。本当に、凪が戻ってこないことに泣いていた。

でも、凪を失って悲しいという気待ちの根底にある「自分を愛して欲しかった」という根源的な欲求は見えていなかった。まるでこの奥にはなにもない、この涙が慎二の後悔の全てだとでも言わんばかりの泣き方だった。それなのに見えてしまった。一番底にあるものが剥き出しになったから、今までと全然違う泣き方になった。

今までは、恋人に振られた弱い男の泣き方だったけれど、今回は弱い「男の子」の泣き方だった。

だから、泣き方で騙されていたようなものだ。私たちは、慎二の涙を見て、「素直になれなくて後悔してるんだね」「失って悲しいんだね」という表面的な理解をしていた。でも、その奥にまだ隠していた。それを泣き方の違いで浮き彫りにした。

「やっと凪の前で泣けたね!」以上の意味をあのシーンに持たせるために、慎二役には泣き方を変えられる人物をキャスティングする必要があった。なんかもはや考えてると気持ち悪くなってくる。(褒めてる)

騙された!と思った。そして、どれだけ隠し玉持ってるんだこの人!怖い!とも思った。

 

 

全体的にも面白かったのに、最後の最後に持っていかれた。

中村倫也の初恋の演技もめちゃくちゃ良かったのに。吹っ飛んだ。

慎二、大人のツンデレはマジで救いようないけど、高橋一生が演じてくれて良かったね…。

このゴンさんと凪のシーン、とても良かった。

映像、演出、全て良い。

そしてつかみどころがなかったゴンさんの目が今や子犬のように見えるのもすごい。

高橋一生の演技はすごいけれど、1人だけが上手いとめちゃくちゃ浮くのだから、浮いていない、ドラマの一部になっているくらい、周りが上手いってことなんだろうな。

 

ただ、個人的に、コインランドリーを売ってくれたのはとてもとてもフィクションだった。お暇シーンには憧れる描写が多いが、「社会」に戻ると急に幼稚に見える。

でも、学歴が担保になるという皮肉は良い。

所詮学歴か、と思うかもしれないけど、それも実力だから。存分に使って、いつか学歴のことなんか忘れさせてやれ!

 

 

 

 

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