つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

赤髪の白雪姫のメイン登場人物は僧っぽい(最新刊ネタバレあり)

※批判めいた物言いに聞こえる部分もあるかもしれないが、基本的には赤髪の白雪姫は私にとって好きな漫画であることは忘れずに読んでほしい。1巻から追いかけているから、思い入れが…。

 

ミツヒデと木々の件でとてもモヤモヤしている。

 

その原因を考えているうちに、赤髪の白雪姫は、メインの登場人物に人間くささが少ないと思い至った。

もっと細かく言うと、人間らしい弱さがない。意志薄弱なところがないというのか、ネチネチしたりあとからグズグズ言ったりしないというのか。

物事の最中に弱音を吐くこともある。離れることを寂しく思うこともある。それでも、勇気づけられたらちゃんと勇気になる。そして立ち直れる。みんなが前向きでまっすぐだ。

人の感情がシンプルで綺麗でさっぱりしているからこそ、登場人物に嫌味がなく、読後感が良い。比較的重い心と心の結びつきを描いているのに、あの淡白さは一体なんなんだろう。

この読後感が好きで読んでいたはずだが、いつのまにか私が他の恋愛漫画と同じものを勝手にミツ木々に求めてしまっていたんだろう。

 

たとえば、白雪もゼンも、離れている不安があまりない。異性関係の不安とか。心が離れるかもという不安とか。さわやか冒険ものかってレベル。

性善説は言い過ぎだが、「同じ方を向いているから私たちは大丈夫」と思っている。(実際二人はそうなんだけど。)(他の男と会話してると妬くけど。)

とりあえず、作品全体に概ね一度決めた心は不変という価値観が貫かれている。ような気がする。

誤解を恐れずざっくり言ってしまえば、赤髪の白雪姫の登場人物は「僧」っぽい。

みんながみんな、自分の気持ちと折り合いをつけるのがうますぎる。

だからあまり激情もない。怒ることはある。でも治り難い理不尽な怒りはない。

ミツヒデいいのか」と聞かれて「もう決めた」と答えたらもう本当に決まっているのである。

そして決まってしまったから変わらないということを周りがわかっている。

ミツヒデも決めた。木々も決めた。

決断したから、もうそれは感情で揺らがない。

一度自分で意志決定をしたら後悔しない。有言実行である。

みんな、とても理想的な心の動きをしている。切り替えも早い。一度決めたら後悔しないことができたらどんなに楽だろう。

自分の決めたことでどんな事態を招いてもみんな自分でスッキリできる。

終わったことに執着しない、決めたことでくよくよしない、理想的な精神だと思う。

そういうところが「人間臭くない」と思うところ。(悪い言い方をすれば人の心の動きが非現実的ということになるが、漫画だから別に非現実的で構わない。)

 

また、みんな人情は大切にするけど、他人が決めたことにもあまり干渉しない。お節介は焼きすぎない。「お前に関係ないだろ!」ということをしつこくやらない。(意に反した決定をしようとしたら色々言うけど。)

ゼンも白雪も二人が決めたことならと余計なことは言わないし、ミツヒデも木々も自分で決めたことだから変えない。

 

だから、もう、行動が変わるきっかけがどこにもない。

今更後悔するキャラが一人もいない。

良くも悪くも、本人が決めたことが一番大切。

とてもとても大切なことだ。だからいい漫画だ。

問題は、私はこれがそういう作品だと忘れていたということである。

(ちなみに、悪者はそれなりに現実的に人間くさいと思う。)

(逆転の可能性は強いて言えばヒサメが「心に決めた人がいたのでしょう」と言うくらいか…。)

 

そして、どの登場人物も恋愛の優先順位が低いことも、この漫画の特性だと思う。少女漫画のわりに。LaLaのわりに。恋愛以上に信念が大切にされている。

ゼンと白雪でさえ、だいぶクールだと思う。確かな肩書きなどないのに。

そんなにみんながみんな恋愛以外の信念を優先できるものなのか。できるんだろう。この漫画はそうだ。

(他の漫画も多分もう少し他のことを優先することが可能なんだろうな…。)

「これが一番だから、これのためなら恋愛は仕方ないか。」と思える。(もちろん、ゼンは両立を目指しているわけだが。)寂しい方の選択肢を、選ぶことができる。

ミツ木々は、そういう漫画の登場人物だ。

そして、くっつかない男女の美学というのも確かにあると思う。

 

ちなみに、この人の心の動きの不変さ・恋愛要素の順位の低さが悪いと言っているわけではない。むしろ「良さ」だと思う。私もこういうところが好きだ。

この特性があるから、私はオビと白雪がずっと一緒にいても不安にならない。

白雪が他の漫画みたいに不安からオビと寝るとか、オビが強引に奪い取るとか、そういう心配が一切ない。

そういう心配を一切せずに、本筋の物語を楽しむことができる。

私はこの漫画のそういうところが好きで読んでいる。みんなが自分の中で折り合いをつけられるところが好きだ。

っていうか、ミツヒデと木々の結末以外に不満を抱いたことはなかった。ゼンと白雪以外の関係も、まさにこれが良かったと全部思っている。

だからこその、一度言葉にされたからにはもう変わらないんだろうなという信頼感。

それが今回ばかりは絶望につながっている。

そして辛いのに読むのをやめることもできない。この漫画が好きだから。

 

好きだから、いつか受け入れなければならない。それも重々承知だ。

思い通りにならない展開を受け入れられないなら読むのをやめるしかないけど、それはできないから。

正直に言うと、最新刊を読んでヒサメと木々の関係もめちゃくちゃいいなと思った。

思ったし、木々もヒサメを好きになるだろうと思うけど、私の心が「伴侶」がヒサメになることにまだ納得できていない。

懐ききったところで実はこの人が親ですよと言われてもはいそうですかとすぐにはなれない。

(ミツヒデや木々の意味深な複雑な笑顔のコマとかも特にないし…。)

 

ゼンはミツヒデも木々も「幸せだと言えるところにいてくれればいい」と言った。

このままでもその通りになる。

ミツヒデは「俺はこの先もゼンが一番だけどなあ」と言った。

その通りのことをした。

でもミツヒデは「俺はゼンの事を大事に想う人を嫁さんにするだろう」とも言った。あとゼンも「木々の背中を他の誰かに守らせるなんて考えもしてない」と言っていた。

どうして…。

ヒサメと木々の子供をミツヒデが抱っこしているシーンとか見ることになるのかな…。無理だな…。

はあ…。

いや10〜11巻読んだら普通…ねえ?14巻の特別編もそういう…これフラグじゃないの?なんのつもりで…なんのつもりで描いてたん…?木々は共に生きたいと思って求婚したのに…?

 

はあ…。

受け入れるにはまだ少し時間がかかりそうだ。

 

 

 

……………………いややっぱ無理だわ結婚してほしいわ。

あれもあれもそれもこれもフラグじゃなかったとは…信じ難いわ…。

なんでみんなスッキリした顔してるの…もう終わっちゃった顔してんの…いやいや………粘ろうや…………。なんで全員めっちゃ前向いてんのよ………むり…………。

この…二人にこの結末を迎えさせるために(みんなをびっくりさせて絶望させるために)あれだけのフラグを積み重ねてきたのはあまりにも鬼畜すぎやしないか……?最初からこの結末を予定していたとしたら…誤認を…楽しんでいた…?

展開のビターさがLaLa読者には劇薬すぎて…これは掲載誌メロディの強さだよ……。

 

っていうか、くっつかない男女自体は好きなんだよ。

例えば騎士と姫とか、パレスメイヂとか、そういうものに「くっつかないなんてありえない!」なんて野暮なこと言うつもりはない。

結ばれないことの美しさも好きなんだよ。

ただ結ばれようのある立場と通いあわせられる心が揃っているのに「俺、世界を旅したいんだ!」みたいな少年漫画の主人公みたいな崇高でかっこいい理由で断るなんて、想定してないわけよ。

フラグもめっちゃ立ってたじゃない。

 

 

 

 

 

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