つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

同期のサクラ第9話感想〜サクラはうんこもしないし熱愛もしない、なぜなら偶像だから〜

主観による評価

★☆☆☆☆

 

根性論で、挫折した人は立ち直らないし、理想論で挫折した人を慰めるシーンで感動すると製作陣に思われたことが怖い。そんな回だった。

※最終回ではない

 

 

「あの桜」以外桜じゃない

↑の前回の感想でボロクソに言ったが、それでも今回淡い期待をしていた。

「桜、元に戻ることを急かしてごめん。

あんたが意識を失って、2度と目が覚めないかもと思って、やっとわかったんだ。

生きてるだけで充分だって。

生きてる上に、前向きで勇気があって強いことなんか望まない。」

とか言うかもしれないなって。

全然だな。

あんなことがあっても、生きてるだけで充分とはならないんだな!!

生きてるだけでは不十分で、我々のために強くあれ、「桜」たれ、私たちの母たれ、我々の理想で憧れのままの君であれ、そうでなくては君じゃない。

元に戻らない君を君とは認められない。

「元に戻って」「あの頃の桜に戻って」「いつもの眼鏡をかけて私たちの好きな桜として振る舞って」「忖度せず生き生きと働いて」それ以外桜じゃないから。

「それ」は桜らしさじゃないと外野が決めつける。自分たちの桜像に従って。

そもそも同期たちが過剰に桜らしさを求めて縛りつけたから島でも桜はみんなの求める桜の行動をせざるを得なかった。同期のエゴまみれの助けにならない言葉が桜をここまで追い詰めた。

 

いつも通り振る舞えないことや弱ることを認めてもらえない息苦しさが、全てのセリフで増幅されていくことに、脚本家は気づかなかったのだろうか。

それとも、自分が弱った時にこうやって叱咤激励されて復活したという経験則?

それとも、忖度しない人間は挫折しても休まず叱咤激励で復活するだろうという認識?

この挫折した人間への無理解と根性論が、ストーリーの展開上必然で無理がないと判断した制作陣が怖い。そんなもので感動させようという発想が怖い。そんなもので感動するだろうと思われたのが怖い。

誰一人、治れと言われて人は治らないと言わなかったのだろうか。

桜が忖度しなかったことで伝わったのだから、みんなも忖度しないことで伝えないといけないと考えられたのだろうか。

たとえ弱っていようと、理想論と根性論と忖度しない正論と「私たちはあなたのことを思って言っているんだ」という理論武装でぶん殴れば伝わる。

そんな勘違いを、全員がしていたというのだろうか。

友達の言葉なら響く…そんな甘いことはない…少年漫画ではない…一度折れた人の心は…友達の「一緒に頑張ろうよ♡」で治るわけがない…!

あの頃の桜に戻ってよなんて、「今のあなたは好きじゃない」って間接的に言われ続けて、よっしゃやるか!って奮起できる精神状態じゃないことくらい…わかれ…!

「変われ」と言われて変われる人間など…いない!

前回の感想で、この辺りは「ちょっと嫌な見方しすぎかな?」と思いもしたのだが、寧ろ甘かったレベルで今回が恐ろしかった。

 

 

 

一人病んでも同期ごっこは続く

先週からその気配はあったけど、こいつら「同期を気にかけてる自分」に満足してるだけだ。

だから、元に戻らない=自分たちの努力が実らないことに腹を立てているだけ。

桜が元に戻るという達成感を味わいたいだけ。

桜の気持ちを軽くすることが目的なのではなく、自分たちが気持ちよくなりたいからしているだけ。

だから「桜が今どういう風に苦しんでいるんだろう?」という想像すらしない。自分たちのいいと思う方法しかできない。

 

最初は「同期」というだけでお節介な桜が煩わしかった。

でも「同期だから」という理由で介入してきた桜に救われたから、みんな「同期」という枠組みがあることに、その強固さに酔いしれた。

だから今度は「同期だから」の枠組みを外せなくなってしまった。同期なのに桜が自分たちの言葉で救われないことに納得できなくなってしまった。自分たちは同期である桜に救われたのに。桜なら同期としてできるのに、自分たちにはできない。

同期とは本来そんなに重大なものではないはずなのに。

前回、すみれさんに桜が泣きついたときに失敗と判断した蓮太郎を思い出す。

泣くことだって復活には必要だ。吐き出すことだって重要だ。桜に必要なのはデトックスの場だけだったかもしれない。

それでも、泣く桜は解釈違いで、自分たちの思い通りに復活しないのは「失敗」にしか見えない。

それは、自分たちが桜の言葉で復活する時はいつも、「吐き出して、弱ることを許される」じゃなく、必ず「前向きになり、奮起する」方向だったから。同期たちにとっては、それが成功になってしまった。

桜のおかげで自分たちが「そう」なれたように、自分たちの働きかけで桜も「そう」ならないと、成功とは思えないんだろう。

(中略)

お前たちのエゴを満たすために桜が復活できるわけがない。完全に偶像崇拝である。

「私たちにとっての桜はアイドルでうんこしないし恋人もいないでしょ?」と、現実の桜のことなど見ずに、「そうあってほしい」桜のことばかり「そうじゃない」桜に押し付ける。

(中略)

そして、元に戻らない=失敗って報告し合っているのも怖すぎる。

同期にとっては、「みんな、ありがとう!私明日から頑張るね!」だけが成功なのである。

桜には、落ち込むことさえ許されない。

みんなのために元気でいないといけない。

(前回の感想より)

桜に必要なのは就職しろという忖度のない現実(しかも今すぐじゃなくていい)を突きつけることではなく、すみれさんのようにご飯を作ってあげたり、そばにいてあげたりすることだったんだと思う。急がなくたって、あなたが好きなようにすればいいと肯定するだけで良かった。待つだけで良かった。

でも力業しか知らない同期だったのは、不幸なことだった。

「理想の同期」ごっこを続けるために、桜はすぐに理想通りの復活を遂げて、元に戻らなければならなかった。

よくわからない上辺だけの根性論と理想論で桜が復活して、良かったね。

同期の達成感が満たされた、素晴らしいシーンだったね!!!!!!!!!!

 

 

 

葵、てめえは鍋を食え

同期からの説教は驚くほど心に響かなかった上に恐怖でしかなかったが、間違いなく、鍋のドタキャン続きのシーンがなければもっと印象が違っていた。

そんなに大切だと口で言うなら鍋にも行けばよかったじゃん!?となってしまった人が多いのではないか。特に葵。

まず、多くの人間は、自分の準備が無駄になる、楽しみにしてた分台無しになるシーンが苦手だと思う。

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単純に胸が痛む。

たとえばクラスで浮いてる子が誕生日パーティーの招待状を渡したらみんな来るって言うからお母さんも喜んでご馳走準備したのに待てど暮らせど誰も来ない。

そんな、いたたまれなくなるシーンが辛い。

そんないたたまれなさを味わった後に、全然みんな謝りもせず偉そうに説教するもんだから、もう驚くほど説得力がない。

鍋ドタキャンした奴の説教が心に響くか?あ?

自分以外も来なくて決行されなかったことを知らなかったにせよ、「えっみんなも来なかったの!?ごめん!」って謝るシーンくらい入れられなかったのだろうか?そしてそれを一人だけ理解していたのに帰った葵はサイコパスだと思う。

なんで葵ここまで来て帰ったの?(全員来ていないという)事情をわかっていながら自分の気持ちが整理できていないからと帰るこいつが一番ひどい。鍋そこで煮えとるがな。

みんな、鍋に行かなかったくせになんなの?

口で大切だと言うなら行動でも示せよ。

百合はセミナーだから仕方ないとは言え、蓮太郎は今日じゃなくてもいい退職願、菊夫は明日でもいい決意表明(っていうか仙台にまだいるってそもそも間に合わせる気がないだろ)のためにそれぞれドタキャン。どんなに正当な理由があろうとドタキャンはドタキャン以上の何物でもない。

っつーか葵、その程度の結論ならもっと早く出せただろ。一人で全然考えてなかったんだろ。鍋食えるだろ。

誰も桜の気持ちなんか考えていない。

葵、吹っ切るもなにももはや桜のことなんか大切に思ってないだろ。

 

 

 

安全圏から理想論のアドバイス

結局、みんな自分のことが最優先だ。

誤解なきよう言っておくが、それ自体は悪いことではない。自分のこともままならない人間が他人のことなど気にかけられない。

実はセミナーだったんだとあとから知れば桜も申し訳なく思うだろう。

でも、言い換えれば、気にかけられるのは自分が安定していて「高み」にいるからだ。

悩みはあってもそこそこ普通に仕事して普通に生活して、結婚したり子供産んだりして人とのつながりがあって、起業を考える余裕もあって、そんな生活をしている人に桜の苦しみがわかるのか?

桜には、仕事も家族もいない。夢だの何だの言えるようになるのは、仕事があったりお金があったり、心の余裕が出てからだ。

同期たちは、職や立場がある程度保障されているから、就活頑張ってなどという無責任なことが言えるのである。

安全圏から口だけ出すのは、お手軽に満足感が得られて楽しいだろう。

言葉で「あなたが心配なの」とは言える。でも自分のしたいことを後回しにしてまで「行動」はできない。

みんな自分のことを済ませて、心の余裕ができて、やっと桜のことを気にかけられる。その程度の存在だ。自分のことを後回しにしてでも桜のために!そんな人誰もいない。左遷されても同期のために動いた桜には誰もなれない。

それでも口で大切だと言うのなら行動で見せて欲しい。

みんな理想論と根性論だけで、具体的には誰も助けてくれない。

桜は、体はまともに動かない、仕事はない、どうしようもない現実を目の前に一人で、気力だけで立っている。

新潟に行くなと言うのは簡単だが、現実問題桜にお金はない。

そんな桜に理想ばかり突きつける前に、就職先を紹介したり、精神的に回復するための病院を紹介したり、具体的な行動が取れるはずだ。

でもしない。自分の時間をそこまで犠牲にできないから。

会社に今更桜を戻せとも言えない。無駄かもしれないから。そして自分の立場も危険になるかもしれないから。(百合と葵は、特にまだ会社に残っているから。)

そして、東京に残ったとして、常にそばにいてくれるわけでもない。

だから、同期たちは桜にはそもそもなれない。彼らが悪いとかではなく、根本的に違う。

口で言うことと行動することに乖離がある。「人のためにここまでできる」のラインが悲しいくらい違う。

桜ならきっと止めるために上層部に掛け合った。左遷されるとしても。そこまでしろということじゃない。そこまでできない、無責任なくせに新潟に帰るなと言う資格はない。

結局、「目が覚めて良かった!はいじゃあ頑張ってね!リハビリもして就職もして私たちの相談にも乗ってね!」ってできる自分勝手な人たちだから、仕方ないんだろう。

 

 

 

わかる!と思った意見たち

前に進むことを強要される雰囲気の中で「戻っていい」と言われるあたたかさ。

おばちゃんは良心だし、どう考えても島に帰った方が幸せ。

 

目覚めたばかりなのに相談したいとか、鍋じゃなくてセミナー優先して「桜ならそう言ってくれると思ってた」とか、病み上がりに甘えるな。

「桜ならそう言ってくれると思ってた」ってひどすぎない?

「おめーら、桜ならそう言っでくれると思っでたとか、夢のためだから休ませでとか、自分勝手だな!」とかキレると思ったら、そういう展開もないから、ただただ桜が甘えられて我慢させられただけ。

 

桜の言葉で救われた同期が、だから今度は自分たちが救いたいと思うのはわかるけれど、みんなは桜のことを救っている気分になっているだけで責めているだけ。

救う自分たちに酔っているだけ。

 

桜のことを好きだと言うが、一言一言が桜を孤独にしている。辛いこと、苦しいことの中に閉じ込めている。

好きとは何だ?仕事や収入や人とのつながりが保障されたコタツの中から外で凍えている人に偉そうにアドバイスをすることか?

 

一番辛いときに、休んでいいんだよと言わず、元に戻ってとかそれはあなたらしさじゃないとか言って、「このままじゃ良くないのか」と更に悩ませ傷つけ追い詰めるあなたたちは同期でも友達でもない。仲間だ友達だと言うわりに誰も桜の求める言葉を言ってあげたことはない。

 

就職先を見つけてあげるわけでもないのにどうしてここまで桜の人生を急かすんだろう。貯金もなく仕事も見つからず、身体も悪くてバイトもままならないのに東京で一人暮らしを続けろってどうして無責任に言えるんだろう。無理やり引き止める権利なんかない。桜だって頑張りたいって思ってるのに。

 

今は理想を押し付けるタイミングじゃない。病んでる時に寄ってたかって説教されたら余計に病む。どうして誰も寄り添わない。

 

鍋ドタキャンの描写要らなかった。あれがなければこんなにむなくそわるくない 鍋食べにこんかったことを引きずって言葉が入ってこない

桜がいなくてももう大丈夫なんだなあということを描くためならドタキャンの必要性なかった。

 

サイコパスドラマ。

 

地元に帰って休むことのなにがいけないのか。四人に囲まれて寒いこと言われたら辛い。叱ってるんじゃなくてそれぞれの価値観と願望を押し付けているだけ。それぞれ思いがあるのはわかるけれど、一度休んで、帰ってきたら笑顔でおかえりと言えばいいのに。逃げたくなったら逃げて、戻ってきたくなったら助ける、それでいいのに。

 

マイペースなのは桜ではなく同期。みんな桜のこと好きだと言いつつ孤独にさせていることに無意識なのが怖い。

 

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話聞いて欲しいだけなんだな。

 

同じところにいて一年会わないのによく知ったように色々言えるよね。

 

本当になwwwww

 

 

 

その他

  • もう同期の追い詰め方が怖すぎて忘れてだけど、現代の価値観にすり寄るために百合急に尖りすぎだよ。

 

  • 要領良く就活できる人なら今頃クビになんかなってないよな。

 

  • 毎回誰かしらが「島に橋が架からなかったのは確かにお前のせいだけど」みたいなこと言うの、地味に怖くない?桜が自分を責めていることなんか見ればわかるのに追い討ちかける必要ある?毎回毎回傷えぐる必要ある?

 

  • 次回予告で百合が「あんたが一番権力持っちゃいけないタイプ」って言ってたっぽいけど、どんだけ理想像で振り回せば気が済むんだ?弱るのも権力を持つのもだめ。自分の望み通りじゃなくなったらアンタはダメって。桜はあなたの操り人形ではない。好きにさせてやってくれ…。

 

 

 

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