つちや(仮)

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テセウスの船第10話(最終話)あらすじ感想〜みきおの行動原理が鈴じゃなかったら詰んでた〜※原作ネタバレ前ワンクッションあり

原作から変えることを目的としすぎて大変なことに…。

 

前回の記事

 

 

 

第10話あらすじ(放送翌日更新)

  • 連行された佐野は、駐在日誌をプリントアウトしたものを見せられながら尋問される。「脅迫状が届いたからお楽しみ会を中止にしろ」という詭弁が仇となり、虚言扱いされ疑いが晴れない。小屋を調べても、拉致の痕跡もテレビもなかった
  • 佐野家で、犯人の罠だと和子に話す心。信じているが、和子も子供たちも落ち込む。森刑事にも直談判するが取り合ってもらえない。森に、みきおの意識が戻ったから言い逃れられない証拠が出てくるだろうと言われ、先にみきおに会いに行く心。真犯人に裏切られて薬品を飲まされたなら恨んでいるだろうから聞き出せるはずと思っていたが、さつきに阻まれた上、みきおが記憶喪失になったと聞かされる
  • 記憶を失ったみきおを抱きしめるさつき、それを同じ病室で見守る校長。「この子は私が守ります」と言うさつきに、「あんな思いは2度としたくないですからね」と校長
  • 佐野に差出人不明で「サラダ記念日」が差し入れられる。馬淵は本を褒め称え読むよう勧める。読み進めてメッセージに気づく佐野
  • 手がかりは村祭りのチラシにあるとわかっているが、徳本には佐野を恨む理由が見つけられない心。明日の佐野の面会が決定し、和子は信じているが受け止められない反面、一番大変なのは佐野だから元気付けたいと言う。子供たちは佐野のための絵を渡す
  • 面会で、共犯者の罠だから必ず突き止めると言う心だったが、佐野は暗い顔でみきおの共犯者は自分だと言い始め、和子と心を驚かせる。これ以上話すことはないと面会を終わらせる佐野。自白の強要だと言う心、絵を見せる和子。佐野は一瞥もせず、「俺のことは忘れてくれ。お前らに父親はいない、そう言ってくれ」と言い残し面会室を後にする。森は自白したこともその後何も言わないことも納得できないようだったが、馬淵は「本人が自白、証拠もある、事件は解決、警察の威信は守られた」と満足げ
  • 絵は渡せたか嬉しそうに聞く子供たちだったが、和子は謝り泣きながら抱きしめる。帰宅するとマスコミに囲まれるが、徳本たちに助けられる。しかし子供たちが傷つくから村を出て行ったほうがいいと勧められる和子。怒る大人たちに、鈴も慎吾も困惑していた
  • 優しい佐野が全て嘘だったはずがないが自白したという矛盾に悩む心。朝、佐野が食事をしているか心配する鈴に、和子はその話はいいと怒鳴る。ため息をつき学校へ行こうとする鈴と慎吾を休ませようとする和子だったが、2人は学校へ行ってしまう
  • イライラしたことを心に謝る和子。佐野のことはわかっているつもりだったが、夫婦でも家族でも全てわかるわけではない。家族だからこそ言えないこともあったのかと思い悩む和子に、佐野をフォローしようとする心だったが、絶対ないと言い切れるのかと尋ねられ謝る
  • 馬淵は、佐野に全てを話すことを求める。黙っている無駄な時間に批判されているのは家族だと。家族は関係ないと言う佐野だったが、馬淵は嫌味を続ける。一方和子は仙台の実家から子供を連れて帰るよう言われる。そこへ先生が怪我をした鈴と慎吾を連れて家を訪ねる。クラスメートと言い合いになった慎吾を鈴が止めようとして、他の児童も巻き込まれ喧嘩になったらしい。心に大丈夫か聞かれると、2人とも笑顔で平気だと答える。しかし先生たちは無理に来ない方がいいかもと言葉を濁しながら伝える
  • 喧嘩の詳細を武勇伝のように話す2人だったが、和子は仙台に行くことを提案するが、2人は嫌がる。「お母さんはお父さんのこと信じてないの?私はこないだお父さんのこと疑っちゃってすっごい後悔した!」と鈴に言われ、信じたいけどワープロに犯人しか知らないはずの日記があったことと自白されたことを話す和子。いじめられるし音臼を出ようと提案するが、鈴は、佐野の下手くそな字ならまだしもワープロなんて誰が打っても同じだから信じないと言い、慎吾も同意する
  • 佐野が間違いなく自分で書いたものがタイムカプセルに入っていることを思い出し、掘り返し、中身の手紙を読む心。負けず嫌いで意地っ張りな鈴を心配する言葉、泣き虫で優しい慎吾の未来を楽しみにする言葉、そして和子と結婚して子供たちに出会えて全てが楽しく幸せだったという感謝の言葉が書かれており、「お父さんが悪いことするわけないよ」と確信する鈴。父親を守りたい子供たちについに折れ、和子がこの家で佐野を待つことに決めると、子供たちは大喜び。心は、この家族から父親を奪わせないために、佐野を奪い返すことを自分に誓う。その頃佐野は独房で小説のメッセージを見返しながら、家族の幸せを祈っていた
  • 心が再びみきおに話を聞きに行こうとすると、着替えを取りに行った隙に病室から消えていたとさつきが騒いでいるのを目撃する。ベッドの下に落ちていたノートの切れ端には、「THE END」の文字。それを見て学校に急ぐと、みきおがいた。やはり記憶喪失は嘘だった
  • 心が真犯人を尋ねると、一度は父親を助けたいなら自分で調べろと言うが、鈴がいじめられているなら話は別だと言うみきお。転校したてでいじめられていたみきおを鈴が味方してくれたときから、鈴を側で一番に守ると決めていたのに、鈴が佐野を正義の味方と言うから邪魔に感じ、排除しようとした。明音は鈴をいじめていたから翼に殺させようとした。自分だけが鈴のヒーローになるための計画だったが、鈴が今一番喜ぶのは佐野を無罪にすることだから計画を変更した。ボイスレコーダーを取り出し、「未来の僕も言っていた」と、「ジ・エンド!」と叫びながら毒を飲み苦しむみきお
  • 搬送されるみきおを心配するさつき。心はみきおの全ての言葉が録音されたボイスレコーダーを森と馬淵に聞かせる。自白として認める森、警察の威信が保たれたことを喜ぶ馬淵。佐野は釈放され、心と抱き合う。帰宅し、自白したことを和子に謝る佐野。差し入れの本に、罪を認めないと家族が皆殺しだと書かれていた。(一文字ずつ丸で囲まれていた。)和子も、一度は疑ったことを謝る。土下座し合う2人を、慎吾と鈴と心は猪木の真似で巻き込み元気付ける
  • みきおと繋がっていた人間を改めて考える佐野と心。村祭りで母親を亡くした徳本は動機不明。佐野は、間違って毒キノコを入れたのが田中正志の母親だったことを思い出す。当初佐野は事故として処理しようとしたものの、議員になろうとしていた田中(父)に調査しろと言われ調べた結果、皮肉にもその妻だと判明してしまった。田中は県警に頼んで罪を軽くしてもらおうとしたが無理だった。罰が悪くて村祭りはそれきり中止になった。しかし正志が村に顔を出すようになったのも最近で、恨みを持っているようには思えないからやはり徳本なのかと考える2人
  • 犯人に早く自分に気付けと言われているように感じる心。佐野は自分が買った恨みで巻き込んだことを謝るが、家族の未来を守るために過去に来たから覚悟はできていると心は答える。感謝するが1人では動くなと釘を刺す佐野
  • 古い駐在日誌を読み返すと、校長の息子が来ていたことが判明する。東京の大学に通い、里帰りしていた。祭りで喧嘩に巻き込まれていたが、佐野が毒キノコ事件のせいで仲裁に行くことが遅れ、息子は軽い怪我をした。しかし恨みにつながるとは思えない2人
  • 校長はみきおの病室でさつきに語りかける。さつきが高校一年の時、妊娠し、中学の担任だった校長に相談した。田舎で後ろ指をさされることを恐れ、堕胎させたが、さつきの気持ちをもっと考えるべきだったと後悔しているらしい。生まれてこられなかった子供のために、もう2度と教え子を傷つけたくなかったのにまた守れなかったことを後悔しているさつき。子供を大切にする人は神様が守ってくれると言う校長
  • 校長の息子の話を村で聞いて回ると、もう10年以上誰も会っていないことが判明する。東京の会社でいじめられて退職し消息不明。校長に会いに行くと校長室には不在だったが、代わりに机の上に真っ黒な背景に親子が描かれた絵が沢山のっていた。いつも使っている鉛筆削りのナイフがない。自宅にも探しに行くが見つからない
  • 心が一人で駐在所に戻ると、佐野文吾宛の分厚い手紙が置かれていた。佐野が帰宅し、手紙を隠す心。校長の行方はわからないが、犯人がわざわざ送った12年前の村祭りのチラシの日付は明日だから意味がありそう。「俺たち家族は、きっともう何があっても乗り越えられます」と言う心。失った父親たちに出会えて、心はそう思えるようになった
  • 由紀が背中を押してくれて、父さんが誰よりも家族を思う父親だと知って、家族の弾けるような笑顔に出会えて、俺たちは暖かくて強くて、何にも負けない家族だったんだと信じることができたから、おれはこの家族の未来を絶対に守るって決めたんだ。
  • 隠した手紙をまた開く。それは未来ノートのコピーで、最後には和子と鈴と慎吾が殺されるという架空の記事があり、皆殺しが嫌なら一人で明朝音臼神社に来いと書かれている。心は代わりに行く意思を固める。
  • 楽しい晩ごはんで、心の様子がおかしいことに気づく鈴。何かあったのか聞かれ、いい家族だなと思っていたと答える。心ももう家族みたいなものだと言われる。村に来た時に言っていた父親は見つかったか鈴が尋ねると佐野は噴き出す。見つかったと答える心に、心に似ているのか鈴が尋ねると、「どうかなあ。でも、この人の息子でよかった、そう思える、素敵な父親だった」と答える。泣く佐野。心は、この家族の未来を守ることを誓う
  • 翌朝、置き手紙を残し消えた心。「お世話になりました。佐野家で過ごした幸せな時間は一生忘れません。」佐野が探しに行こうとすると、無線で音臼村で心と似た特徴の男性が倒れているという報告。心は音臼神社へ向かい、パトカーがパンクさせられていた佐野は走って追いかける
  • 和子が駐在所に一人でいるところに校長が訪れる。昨日は東京の息子に会いに行っていたらしい。勤めた会社をすぐ辞めて、事業に金を貸せと言うから叩き出してから、もう親子とも思っていなかったのに、孫が生まれたと急に連絡が来た。意地を張って放置していたが、佐野と心を見ていたら、どういう関係かはわからないが、いつの間にか本当の親子に見えてきた。お互い信じて、疑われて傷つけられても最後は支え合う、あの2人を見ていたら校長も、あの時支えられなかったことを謝りもう一度家族になりたいと思った。孫のために下手くそな絵を描いて持って行った(校長室に残されていた絵)ら、息子も許してほしいと言った。男はつまらない見栄ばかりと言う校長に同意する和子。「うちの2人もおんなじです」
  • 神社で、家族を思い出し幸せを祈る心。犯人が現れず、駐在所に電話すると、山小屋で人が倒れているという通報で佐野が山小屋に向かったことを和子から聞かされる。一方佐野は、神社ではなく山小屋に到着する。当然心はいない。驚いていると、後ろから刺される。振り向き、「なんでだよ」と尋ねる佐野。刺したのは田中正志だった

正志「正義の味方が聞いて呆れる。他人の人生踏みにじっといてまるで覚えてない。

あんたは気持ちよかっただろ。

母さんは罪ってほどの罪じゃなかった。お前の点数稼ぎにつかまって、父に捨てられて、散々苦労して体壊してあっさり死んだ。

おれは妹と母さんのためにもなんとか生き延びようと思った。あいつはまだ小学生だった。おれはあいつ育てるためならなんだってした。

でもどこまでいっても。殺人犯の子だって言われた。何をしても、どこに行っても。それで妹は死んだ。いじめられて自殺した。

あんたのせいだ。

でもあんたを狙ったのはそういう理由じゃない。

親父が大病したと聞いて戻ってきたときあんたがなんて言ったか覚えてるか。

『親父さん喜んでたぞ。家族は大事にしねえとな。』

おれの気持ちも知らずに、家族を大事にしろってあんたは呑気に言った。

許せない。俺の家族をぶっ壊したあんたとあんたの家族に同じ地獄を見せてやるって、その時決めたんだ。」

  • みきおは、佐野文吾が邪魔という目的がたまたま一緒で、扱いやすいから利用していたらしい。子供を利用する権利はないと怒鳴る佐野だったが、「何が権利だ」と一蹴する正志。佐野を殺し、佐野の家族にも苦しみを味わせると言い、ナイフを刺そうとする。抵抗しながら家族に手出しさせないと言う佐野だったが、もう遅いと言う正志。息子だと分かった上で心を殺したと嘘をつく。「わあわあ泣きながら死んでった。あいつわざわざ未来から来たんだろ。無駄足もいいとこだな」と煽る
  • 佐野がナイフを奪い立場が逆転。敵討ちを煽られるが、心が尊敬してくれたことを思い出し、ここで殺したら自分を信じて頑張ってきた心を裏切ることになると耐える佐野。佐野が、家族を救えなかった苦しみに気付けなかったことを謝ると、正志は泣きそうな顔をする
  • そこへ心が現れ、佐野が正志から目を離した隙にナイフを奪われる。佐野を殺人犯にして家族を苦しませることに拘る正志。3人でナイフを奪い合い揉み合ううちに、ナイフは心に刺さる。倒れた心を抱き上げる佐野にしがみつく心

心「俺、家族の未来を守るためにここに来たんです。父さんと、母さんと、姉ちゃん、兄ちゃんに出会えたから、俺、強くなれた。」

佐野「死ぬなよ心さん。いいかよく聞け、お前は俺の子だ。俺の息子だ。」

  • 佐野の言葉に泣きながら笑う心だったが、佐野の腕の中で息を引き取る
  • 31年後。みきおはさつきとカフェを経営している。心は由紀と手を繋ぎ、家族の食事会に現れる。家族全員が揃い、由紀の妊娠に気づき家族は祝福ムード。女の子が生まれると聞き、佐野は名前を提案したいと言う。由紀が尋ねると、明るい未来へ進めるように未来と書いて「みく」という名前を提案する。自分が考えた名前と同じだと驚く心。テーブルの下で佐野はタイムカプセルに入っていた指輪を見つめる。テセウスの船は完全に生まれ変わり、古い記憶は薄れていくーーー。全てを覚えているのは佐野だけ。心は、佐野家みんなの幸せを祈って乾杯の音頭をとる

 

 

 

主観による評価

最終話 ★★☆☆☆

全話 ★★★☆☆

 

心さんは家族の未来を守ったけれど、佐野だけは全てを抱えて生きていく。

それは、一度は家族のために自分だけを犠牲にしようとした罰なのかもしれない。

自分だけ犠牲になって、家族が守れればいい。そんな身勝手なことを考えたから、生きて全てを知った上で飲み込んで生きていけと命じられているような。

タイムカプセルの指輪を大切に握りしめる佐野にはその覚悟があるように見えた。

 

2人の心さんが存在するわけにはいかないから、死ななければならなかったんだと思う。

でも、これしかないトゥルーエンドではあるものの、ハッピーエンドではなかったと思う。

家族を守りたい心さんの意志はもうこの世から消えてしまったのだから。

 

主人公は死んでしまったのに、未来は正しい方に進む。

それでもこの違和感のある「幸せ」が、心さんの願った形であるという苦みを視聴者は受け入れなければならない。

 

終わり方はわかっていたものの、原作とは異なる展開を楽しんだ3ヶ月間は充実していた。

お疲れ様でした。

 

 

 

文句-後出しがすぎる、主人公をバカにしないと成り立たない展開

後出しがすぎる…!

せめて第2話あたりから、

「そういえば20年前の村祭りで」

「ちょっと!村祭りの話は…」

「ああ、そうだったな…」

みたいな伏線の会話を仕込むとかできなかったのかな。

第9話で突然判明した村祭りの存在が全ての始まりで、

第10話で突然判明した加害者の息子が真犯人で、

そんなのありか!?

一応ヒントとして、なぜか未来で田中正志が殺されたというものはあったが、逆に言うとあれしかなかった。

 

そしてオリジナルのミスリード要員、馬淵。

無能新キャラミスリード要員なのは構わない。

でもせめて佐野を陥れたい過去の因縁エピソードくらい入れられなかったのか。

それこそ、田中父が、妻の罪を軽くすることを頼んだ時の県警の担当が馬淵だった、とか。

「昔色々あってな…」で済ませていいなら子供でも書けるぞ。

「なんやかんやあってなんとかなった!」ではなく、その「なんやかんや」を具体的にするのがプロの仕事じゃないのか。

 

正直先週まで楽しんでいた分、原作になかったオリジナル要素の拙さが腹立たしい。

 

原作にないオリジナル要素を入れたこと自体はすごくいいと思う。

私は、ドラマは原作に忠実ならいいとは思わない。三次元に変換する以上、適正に変えるべきだろう。

さらにこの「テセウスの船」については、真犯人の存在がかなり重要で、それを変更したのはよかったと思う。

ドラマの視聴者の「原作未読者」と「原作既読者」の目線を同じにできたから。

でも、真犯人で驚かせることを目的にしたせいで展開がガバガバになっていた。

すーーーーーーーぐ単独行動にするし。

単独行動をしないと状況を動かせない展開ばかりなせいで、心さんと佐野が単独行動せざるを得なかったことが納得いかない。

主人公たちをバカにしないと成り立たない展開になるなら、オリジナル要素なんか入れる必要はないんじゃないか。

原作から犯人変えます!なんて変な欲目を出すからこんなことに…。

 

佐野が釈放されたのは、みきおが主人公たちを上回る頭脳を持っていたから。

心さんが刺されたのも、庇ったわけじゃなく、揉み合った結果の偶然。

主人公の意志の関係ない状況の変化ばかりで、「家族の未来は俺が守る」という決意が虚しく響く。

みきおが、鈴のために生きていたから。田中のナイフがたまたま自分に刺さったから。

原作から変えることで、主人公が全く役に立っていない構図になってしまった。

みきおに会いに行くのにテープレコーダーを回しもしない。

「ドジにドジを重ねた結果なんとかなりました!」なんていうどさくさエンドを見たかったわけじゃない。

 

 

 

原作ラスト(ネタバレ)

最終決戦に辿り着くまでの大きな違い

  • お泊まり会(ドラマではお楽しみ会)で毒殺事件は発生しなかったが、全ての決着はこの日につく。(ドラマでは愉快犯的行動のみ。)
  • 元々の犯人はみきおで、心さんと共に霧の日にタイムスリップした未来のみきおがそれを補助。(そもそもの作戦が心さんにバレているから。)
  • お泊まり会の日、拉致された家族の中でボロボロの慎吾だけが発見され、学校に連れて来られる。慎吾の持っていたメモをヒントに心さんが山小屋へ向かうと、未来のみきおに殴られ気を失う。目を覚ますとさつきの遺体。(みきおを育てたさつきが、藍と同棲する時にみきおの犯行を知り、罪を隠すために余計なことをしすぎたため今のうちに未来のみきおが殺害。)そこで未来のみきおから犯行の目的を聞かされる心さん。
  • 慎吾が見つかったことで、学校に警察と消防が集合する。

 

最後に明かされた全ての真実(ドラマ最終回との違い)

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僕はいつも夢を見た。世界が鈴と僕だけのものになる夢を。

 

鈴を愛していたみきおは、鈴を傷つける明音や、鈴に英雄視されている佐野を消すことで、自分だけが味方になろうとした。

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佐野を殺人犯にすることで鈴は心の拠り所を失う。お泊まり会での大量殺人はその手段にすぎなかった。

 

未来のみきおと小さなみきおの違いはひとつ。

この事件で鈴が大きく変わってしまうことを知っているかどうかだった。

未来のみきおは、事件後もずっと鈴を追っていた。名前を変えたことも整形したことも知った上で近づいたが、鈴(の内面)はもう自分の知っている鈴ではなかった。

慰霊祭(霧に包まれた日)でみんなを巻き込んで死ぬつもりだった。

しかし偶然過去に戻れたからこそ、過去の自分に、「鈴が別人に変わってしまうようなこと」をさせないように動くことに決めた。

お腹の中の心さんごと和子を殺さなかったのも、不幸にするほど未来の鈴が変わってしまうならなるべく何もしないほうがいいと思ったからだった。

 

だから、未来のみきおである自分が「加藤信也」として全ての罪を被り自供して死刑になり、小さなみきおは鈴と和子を助け罪なき正義の味方となることで、鈴を変えない上に未来の自分を幸せにする方法を考えた。

(そもそも慰霊祭の日に死ぬつもりだったから、自分が幸せに生きながらえるつもりはなかったのだろう。)

そして、未来のみきおは、自分の罪の仕上げとして、警察や消防の前で佐野を刺殺することにする。

 

殴られた心さんとさつきの遺体、そして全ての証拠品がある山小屋に未来のみきおが火をつけた頃、学校では小さなみきおが和子と鈴を見つけて正義の味方になろうとしていた。

警察は小さなみきおを褒め、佐野に「加藤信也」の捜査をすることを約束する。

和子や鈴が救急車で運ばれる喧騒の中、未来のみきおは佐野を刺そうとする。

燃え盛る山小屋から生還し、それに気づいた心さんが佐野を庇って刺される。

唖然とする未来のみきおに手錠をかけ、心さんは倒れる。

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それでも佐野を刺そうとする未来のみきおに佐野は発砲し、未来のみきおは死ぬ。それを見ていた小さなみきおは呆然。

瀕死の心さんに、「お前は俺の息子だ!」と涙ながらに語りかける佐野だったが、心さんは死亡。

 

このままだと容疑者死亡で小さなみきおの罪は裁かれなくなりそうなところだったが、心さんが小さなみきおの声で録音された殺人日記のテープ(ドラマではワープロ)を山小屋から持ち出していたため、小さなみきおは少年院に送られる。

 

そして平成29年(2017年)。

東京に移住した佐野一家は、2週間後に閉村になる音臼村の旧自宅にタイムカプセルを掘りに、そして平成元年に亡くなった「田村心」の墓参りをしに来ていた。

「村田藍」とは顔の違う鈴(妊娠中)、文吾にそっくりの慎吾、元気そうな母親、そして死刑囚にならなかった佐野文吾。

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タイムカプセルで、あの時の田村心が「岸田由紀」という女性と結婚していたことを知る佐野は、心のために由紀を探すことに決める。

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母が埋めていたインスタントカメラを現像すると、自分たちの弟の心にそっくりな「田村心」の姿。

「佐野正義」になる予定だったが、「佐野心」に変更された。(ドラマでは最初から「心」と名付ける予定。)

田村心は亡くなったが、佐野心は何も知らず生まれ、何も知らず平和に成長し、教師になっていた。

(おそらく休みが取れずタイムカプセルは掘りにいけなかった。)

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そして、同僚の、岸田由紀にそっくり(おそらく本人。明言はされず。)な女性と愛を育み、家族に紹介している。

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長い時を経て、ようやく、「佐野が死刑囚にならなかった」世界が訪れた。

 

一方、みきおは。

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佐野によれば20年以上前に出所し、行方知れず。佐野も現役を引退しているためこれ以上探せない。

しかし東京の街を今も歩いている。(鈴への執着を失ったかは定かではない。)

 

原作と違って面白かったところ

  • 未来から来て、自分を捨て駒と思っているところも同じなのに、目的が違うせいで悲しいほどすれ違う心さんと未来のみきおという対比が、ドラマでは失われた。代わりに、犯罪加害者の身内の未来という点で、田中と被っていたところ。
  • 原作では、心さんと由紀が結婚の挨拶に行く描写で終わっていたが、あえて結婚後にして、子供を「未来(みく)」と名付けるところまで描いたところが良かった。より「求めた未来」に近づいた感じがして。

 

ドラマの最終回で不満だったところ(ネタバレもあり)

  • 容疑者を増やしすぎて不完全燃焼。
  • 結局由紀と心さんの関係の補完はなかった。まあ、その分ドラマでは第二の世界線が充実していたからいいかな。
  • 「原作既読者も想像できない終わり方」にするために破綻してしまった…。
  • 「家族の未来を守るため」だから自ら刺されにいくと思ったのに、佐野を庇って刺されたのではなく偶然刺された。偶然かい。
  • ↑「自分だけは未来の人間だから死んでもいい」ことを逆手に取るのが好きだった…。っていうかこれがないと心さん本当にただのバカじゃん!
  • みきお、鈴への執着をどうやって捨てたのか謎。どうしてさつきと穏やかにカフェを経営しているのか。 やっと正義の味方になれたわけだが、そこから現代までに何があったのか。原作だと「まだ何かあるかもしれない」不気味さを残していたが、ドラマだと怖いくらい爽やか。
  • 鈴なんで顔変えた?
  • ↑佐野が殺人犯じゃないのに顔を変えるのはただの趣味では?
  • 翼が明音を殺せと言う命令に逆らえなかった理由がドラマでは謎。小学生への暴行を描きたくなかったんだろうけど、それなら明音のエピソードを変えるか、別の理由を用意して欲しかった。
  • まとめると これ。
  • 原作では墓参りがあったが、ドラマでは「心さん」が亡くなったことへの佐野一家の反応がわからない。

 

なぜこうなったかを簡単に考えた

最大目的を「原作と違う犯人にすること」に置く。

そのために正志の死を追加した。

でも、8話まで、正志の死以外はほぼ全て未来のみきおが真犯人の原作とほぼ同じにしてしまった。

ラスト2話で急に正志ルートに突入したせいで、妙に納得感がない。

みきおを利用した理由も、原作の真犯人なら当然理解できるものの、正志がみきおを利用する理由がどうにも弱い。原作と真犯人の立場が違うのだから当然だが。

正志が真犯人の1人である設定に変更するなら、1〜8話ももっと正志ver.に合わせるべきだったんじゃないか。

安藤政信は刺しに来ただけになってしまった。

 

 

 

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