つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

MIU404第4話あらすじネタバレ感想〜死にたがりのエゴイスト〜

もはや少し怖いまである…。

 

前回の感想

 

 

 

主観による評価

★★★★☆

 

何から書けばいいのかわからない…。怒涛の情報をただ見守るしかなかった…。

「つぶったーを見る画面を見せなかったのは、後から読み違えに気づかせるため」というのも凄かったんだけど、それどころじゃなくなってしまった…。

 

志摩について

得体が知れないのは志摩の方だったか…!

相棒の死の後悔と、なんとなく支えるしかない桔梗への思慕くらいしか想定していなかった自分の浅はかさを呪う。

伊吹は1話で底知れなさを見せて、2話や3話では人情を見せた。それらは今考えると、ただ行動が突拍子もないだけで、すべての根底には人への優しさや正義感があるということだったんだろう。

でも志摩は違う。冷静で正義感があって推理する能力も抜群。市民のことを守るつもりでいるけれど、自分の命だけは守るつもりがない。ただの手駒の一つとしてしか扱っていないようにも見えた。

そう考えると、自分は死んでもいいと考えているくせに、伊吹には「長生きしろ」なんて言ったのか…と思い出して、鳥肌が立つ。自分は死んでもいいのに、一度でも大事だと思ったら相手には死なないことを望むなんて、すごいエゴの塊だなと思う。

自分はもう誰かを失って苦しみたくないけれど、自分が死んだ後に誰かが苦しむことは構わないって言ってるのと同義じゃない?

伊吹に、二度とあんなことをするなと言われて、志摩は「合点承知の助」と答えた。伊吹がその言葉で返事をしたときには「真面目な返答をしろ」と一蹴したくせに、自分はそれを使って「そんな約束守る気はない」ということを示すなんて。

伊吹は普段自分が約束を守る気がないときに使う言葉だから、真意もわかっているだろう。

でも、生に執着しない志摩が、生きて誰かと幸せになりたいと思ったり、死にかけた伊吹に生きろと願ったりする展開は、すごく見たいな…。自分の生死には無頓着なくせに、誰かの生には執着して生きていて欲しいなんて…。

 

追記1:自分の命を軽んじているくせに、死ぬこともできないのは、元相棒が死ぬときに「生きろ」と呪いをかけたか、それとも命を軽んじてた自分を庇って代わりに元相棒が死んだとかなのかな?と恐ろしい想像をしてしまった。

 

追記2

↑たしかに、自分的に正しいと思って破天荒な行動をする伊吹より、間違っていると分かっていることをする志摩のほうがヤバい。

 

九重について

(つぶったーの読み順さえわからないおじさんたちも面白かったんだけど、)今までプライドが高かったり情けなかったりする姿ばかりだった九重の気づきが捜査を発展させるシーンがあって嬉しかった。彼はこうして成功体験を積み重ねて成長するんだと思った。

でも、放送が終わって思い出すと、第3話、彼は少年を1人救えなかった警察官だった。

忘れていた。どうしてこんなに普通の顔をしていられる?どうしてみんな手放しでこんな小さな気づきを褒められる?一瞬そう考えてしまった。登場人物と視聴者の観測している範囲に違いがあることを忘れてしまっていた。

九重はもちろん、志摩や伊吹さえ、成川(第3話)がドーナツEPを持つ男の誘惑に引っかかりそうになっていることなんか知らない。彼らにとって成川は、家出少年であり、担当部署に回してしまったら、日々の事件の捜査に追われて忘れてしまう存在なんだろう。

正確には忘れているわけではないだろうけれど、ずっと過去の事件に頭を悩ませている暇もないだろう。自分達の職務を全うすることがその日の使命だから。

こうしている間にも、成川は罪に手を染めて、引き返せないところまで行ってしまっているかも知れない。なのに、4機捜はそんなことに気づかない。手遅れになるまで認識できない様子を、何話もかけてじわじわと描くなんて、残酷な脚本だと思う。

九重の成長はこれからも描かれるだろう。実際第1話に比べて随分柔和になったと思う。それと"同時に"、解決されない時間の経過とともに事態が悪化しているであろうことを想像させるなんて、苦しくて面白くて仕方がない。

 

追記:舞台が機動捜査隊である理由

暗い終わり方をした第3話のことなど忘れたかのような第4話の様子を見て、これこそが、舞台を警視庁捜査一課ではなく機動捜査隊にした理由なのかもしれないと思った。勿論事件のジャンルを問わずに捜査に関われる分展開に幅が生まれるというのもあると思うが。

未成年を行方不明にさせてしまったら、普通の部署なら大失敗で、第4話まで引きずっただろう。成川を見つけ出すまでが事件であり捜査の範囲であり、それが遂行されるまで仕事は完了しないから。

でも機動捜査隊は違う。捜査を続けることができない。そういう部署じゃないからだ。彼らに決められた捜査の範囲はない。「バトンタッチするまで」という区切りがあるだけで、自分たちの意思で事件の終わりを見届けることはできない。バトンタッチした時点で、成川が見つかっていないのに仕事は終わった。そして今後、次の犯罪が発生するまで、彼らは成川を救うチャンスすら手にさせてもらえない。

成川が2日後にお腹を空かせて犯罪に手を染めず見つかるか、1年後にドーナツEPで廃人になってから見つかるかを左右するのは機動捜査隊の範疇ではない。

その権利を有するのは実際に捜査をしたり、保護するために奔走したりしている部署だろう。私たちから見て事件は終わっていないし放置した分(実際には捜査がされているだろうけど)だけ悪化しているのに、彼らが次に成川を救うタイミングは、ある意味手遅れになった時にしかない。機動捜査隊は、常に「解決まで関わらなかったもどかしさ」を内包した存在であると言える。

彼らのこの無力さを表現するためには、次の事件が起こるまで大きく関わることを許されない、機動捜査隊を舞台にするしかなかったんじゃないだろうか。

第3話はそれを象徴する出来事として用意された。第3話で成川を見失い、数話経った後に手遅れになった状態で成川を見つける展開が用意されているはずだ。

 

今のところ、志摩と伊吹の感情のやりとりにおいては、機動捜査隊である必要はあまりないように感じる。志摩が捜査一課から異動になったという、都落ち要素を取り入れるなら、落ちた先は機動捜査隊でなくてもいいから。

だから、極論を言うと、機動捜査隊である理由は、九重のためにあるのではないだろうか。

彼が、複数の事件の初動捜査で少しずつ成功体験を重ねながらも、手を離れた事件がその間に悪化したことを後から知るために。彼は成長による満足感を得ると同時に、その背後で後悔の種が勝手に育っていたことに手遅れになってから苦しむ。自分は成長したという喜びから、自分が手を離した事件の顛末によってどん底へ落とされる。九重はそこからどのように這い上がるのか。どのように消化するのか。

彼が後悔を経て、どのように成長するかは、今表層的に見えているよりも、かなり作品のメインテーマの大きな部分を占めているような気がする。

 

※余談だが、交番勤務の場合も考えた。通報を受けたり住民に頼まれて第一発見者に同行したりすることもあるかと思うが、そこでおしまいだし、何度も発見者になるのも不自然。名探偵コナンじゃあるまいし。そもそも交番勤務の場合はメインの仕事が治安を守ることにあるだろう。機動捜査隊は、「最初だけ関わること」がメインの仕事であり、ある程度関わるのに長引く事件の場合解決までは関わらせてもらえないことがより無力感を増す…気がする。

 

ガールと隠された弱者

タイトルの「ガール」に、違和感はあった。なぜガールなのか。年齢的にはLadyかWomanだろうから。

もしかすると、青池の過去、少女時代の悲しい記憶によって彼女の逃走劇が始まってしまったのかもしれない…などと思ったが、全く違った。この物語では言葉を持たないけれど、確かに存在する"少女"のことだった。

 

野木先生の脚本は、とにかく日常生活を送る、自分を普通だと思い込んでいる私のような人間には観測できない、けれど確実に存在する「隠れた少数者」の取り上げ方が絶妙だと思う。(こういうツイートを見かけた。)

絶妙というのはどういことかというと、最初から「弱者の話です」「少数者の話です」と掲げない。

アンナチュラルなら、死因を特定した先に、MIU404なら、事件の行く先に、その事実は佇んでいる。物語を最後まで見ないと、そこに「忘れられた人たち」がいることすら観測できない。

私たちは、最後まで見て初めて、これは見えないだけで確かに存在している人たちの物語だと知り、そこに気づかないままでいてはいけないと思い知らされる。

正直に言うと、かなりキツイ脚本だと思う。自分からは見えない人たちの苦しみに対して無関心で鈍感でいられたら、そもそも知りもせずにいられたら、その方が絶対に楽なのだから。

でも、彼女の脚本は容赦しない。エンタメの先に必ず、知らなければいけないことを待機させている。

楽しい、面白い、でも知らなかった自分が情けなくて痛い。

そう思いながら、見たくなってしまう。「知る」ことをエンタメにどう組み込むのかを見たくてワクワクするなんて、このドラマを見るまで感じたことなかったよ。

 

その他

伊吹のランドセルのエピソードは、善意が迷惑になることもあるという示唆だと受け取ったから、「今回の犯人は、良かれと思ってやったことが裏目に出た悲しい人なのかな?」と安直に考えていたら全然違った。

青池は最後だけ賭けに勝った。良かれと思って行ったことを確かに完遂させた。自らの命をもって。

まさか、隣を通るトラックに彼女の全てが乗せられているなんて、誰があの時点で想像できただろう?

 

屋上の志摩と桔梗、気を遣って気配を消す伊吹は展開のシリアスさの中で一錠の清涼剤のように効いた…。

 

本当に気をつけたいと思った。

 

疑問

なんで怪我してたん?

マジで見落とした?笑

 

追記

それはそれでめっちゃ面白くて切ないな?

めっちゃわかる。執着してない奴ほど長生きする。

死に急ぎ野郎…。

悲しい。最後の最後に、彼女は心の余裕ができたんだなあ。余裕ができた自分自身への興奮もあったんだろうな。

他人のツイートが滲みる。(掲載に問題がある場合は言ってください!)

 

 

 

第4話あらすじ

いいことをするには金がかかる
  • 4機捜の歓迎会で、伊吹は桔梗の亡くなった夫について知る。飲食店勤めで、桔梗は夫が事故死してから妊娠発覚。「妹のような人」と共に育てている
  • 伊吹は、一時期流行ったタイガーマスクのように施設にランドセルを寄付したものの、テレビで施設の人が困っているという報道を見てショックを受けた経験がある。志摩は「こんなにもいいことをしたい奴がいるんだ」と思ったことを明かし、いいことをするには金と心の余裕が必要と語る
被害者であり加害者、1億円の女
  • キャリーを引いて逃げる女(青池透子)が追手に狙撃される。駆け込んだ薬局で応急処置を行う様子や、キャリーの中に1億円近い札束が入っている様子、物言いたげに防犯カメラを見つめる瞳を映像で確認する伊吹と志摩。青池は「賭けに勝ったことがないが賭けてみる」と言い薬局を後にした。伊吹は何か言いたげな青池と語りたいと言い、見つけたらいいと桔梗は許可する
  • 青池は2年前の裏カジノ事件で前科一犯。ホステスとして客の誘いで踏み入れたカジノで返せない額の借金を背負い、風俗とカジノの従業員のWワークで返していた。しかしカジノに警察がガサ入れ。本当のオーナー:エトリは逮捕できなかったが、今回の発砲に関わっている可能性がある
  • 青池は、資格持ちでも前科ありで仕事がなかなか見つからなかったが、結果普通の中古PCショップに勤めていた。昼休みは手芸を楽しむ普通の社会人。ショップの従業員は、ヤクザが押しかけてきて、パスポート入りのキャリーに青池が大金を詰め込んで出て行ったと話す。何の金か尋ねたところ、「汚いお金」と青池は答えた。社長に話したところ通報するなと言われたらしい。組対案件になったものの、独自の操作を続ける4機捜

  • 桔梗が捜査の継続を許したのは、裏カジノ事件でリークした「10億の女」ハムちゃんを救うため。エトリにとってはカジノで儲かるはずの10億を潰した女であり、エトリが捕まらないうちはエトリを捕まえられなかった責任を取って桔梗が匿っている。保育士だったため、桔梗の息子の面倒を見ている。思いを汲み取り、立場ゆえに身動きの取りづらい桔梗の代わりに陣場が他の部署から情報を集める。刑事部長は桔梗に、組対に対抗しているのかと尋ね、裏カジノ事件ではより多くの利益のために1人の女性(ハムちゃん)を見捨てることもしかたなかったと言う

  • 組対の情報によると、PCショップはヤクザが店ごと買い取り、悪事に使う携帯電話をそこで確保していた。自分の会社がヤクザの管轄ということに気づいた青池は、資金洗浄に使われていたショップの口座に入れるよう頼まれた金を横領していた。ヤクザの金なら警察に届けられず罪にならないという魂胆だろう。ショップで青池の話をする社長を目撃し、伊吹と志摩は社長を追いかける。組対、所轄、4機捜、ヤクザ。さまざまな人間が青池を追う
底知れぬ化物を目撃する伊吹
  • バスターミナルの防犯カメラには羽田行きのバスに乗り込む青池の姿が映っていた。狙撃犯も同じバスに乗り込んだ。刑事部長は空港よりバスでどんぱちさせた方が犠牲が少ないと数の理論を語る。バスを追いかける404号では志摩が伊吹に防弾チョッキを着させる
  • 高速バスの運転手は警察の連絡を受け、エンジントラブルと称して高速を下りる。修理業者として乗り込む志摩と伊吹。狙撃犯を捕まえるが実は同乗していた仲間が発砲。確保したがバスから降りるともう1人銃を構えていた。志摩は銃口を掴み自分の額へ押しつけ、撃てと挑発。常軌を逸した行動に驚く伊吹だったが我に返り、引き金を引こうとする犯人の腕を蹴り上げ確保
  • 死ぬつもりかと志摩を怒る伊吹だったが、志摩は「助けるのが遅い」と平然としている。バスの中で青池は息絶えていた。キャリーの中身はからっぽ。話そうと言いながら心臓マッサージをする伊吹
消えた1億円
  • 薬局以降目視されていない1億円の行方を追う警察。SNSには、普通の企業のつもりがまたヤクザのもとで働いていたことを悲しむ青池の苦しみが綴られていた。手取り14万で、汚職で捕まらない金持ちのニュースを眺めて生きていた青池は、マネーロンダリングが辞められなかった。どうせ汚いなら自分が使ってもいいからと、職場の引き出しに貯めたお金できれいに生きたいと考えていたようだった
  • 志摩と桔梗は屋上で語り合う。ハムちゃんは籠の鳥、青池は死亡。青池のSNSに書かれた警察への恨み言を見て、いつも間に合わないことを嘆く桔梗。2人の間に「そういうにおい」がしたからと空気を読んで黙っていた伊吹に気づく2人。どうやってお金を持ち出すつもりだったか考える3人
  • 青池のマップデータに残っていた宝石店で、青池がルビーを購入していたことが発覚。店員は、伊吹がPCショップでもらった青池のウサギの編みぐるみを見て、もっと大きなサイズのウサギの目に入れていたと言う
  • SNSを見ながら九重は、青池は誰を助けたのか考える。桔梗は助けてくれなかった警察への恨みだと答える。納得いかない九重の発言から、SNSの発言の時系列の順番を九重以外が誤解していたことが発覚。正しく読み解くと、青池が最後に少女を救ったことが判明
  • 逃走中の青池は、街中でガールズインターナショナルの広告を見つけ、貧しい少女たちに寄付することに決め、金をルビーに替えた。ウサギに詰めて、楽しそうに発送する青池。配送センターで、「いいことをしたことがなかったけれど、最後に一つだけ」と語っていた。19時のフライトでガールズインターナショナルの事務局・イギリスへ旅立つことを知り、19時まで逃げ切ればルビーも海を渡るからとバスに乗って逃走を続けた。逃げられない女の子を最後に自由にできると思い、高速バスから配送センターのトラックを見つめ、笑う青池
本性は生死のかかった場面で現れる
  • 伊吹は、志摩に「相手の本性を知るには生死のかかった瞬間を見ろ。死にたい奴だったとは知らなかった。二度とあんなことをするな」と忠告するが、志摩は「合点承知の助」とふざけて答える

 

 

 

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