つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

私の家政夫ナギサさん第6話感想〜「好き」は、「知りたい」?「わかってほしい」?〜

原作からこんなに推してんの?

 

前回の感想

 

 

 

主観による評価

★★★★☆

 

「好き」という気持ちの根底を考える

登場人物たちが、多様な感情を他者に向けていてとても面白いなと思う。

そして、各々、「これは恋愛感情なのか」と自問自答する。「それって恋じゃん!」と指摘されて、「これが恋なのか」と納得してドギマギ…ではない、新しいドラマの形だなと思った。

ここで、ドラマの中で描かれた感情についてちょっと考えたい。

  1. 知りたい
  2. わかってほしい

特に結論が出る話ではありません。

 

1.知りたい

結論から言うと、恋という感情の中に「知りたい」は含まれるが、「知りたい」という感情を持っていることが必ず恋に至るというわけではないと思う。

 

「知りたい」という気持ちの原動力は非常に強い。

メイの場合、「知りたい」欲を満たすために、あらゆる手立てを考える。(メイがこれを恋愛感情と定義していないため、「知りたい」欲と表現した。)

1on1の練習という名目で話を聞き出そうとしたり、体調不良を装って自宅に押し掛けたり。かなり強引だ。

これは、恋愛感情とも取ることができる。

好きという気持ちを端緒として、どんどん知りたくなる気持ち。

その一方で、

「隠されることは知りたい」のも人のサガであり、単純で下衆な好奇心とも考えられる。ナギサさんが隠すから知りたくなるだけであって、ナギサさんが最初から包み隠さず全てを打ち明けていれば、特に「知りたい」という気持ちに苛まれることはなかったようにも思う。

そう考えると、現段階ではメイの行動は恋というよりも意地に近く、「自分がさらけ出した・心を許したのに、相手が同じだけの感情をこちらに向けていないのが納得いかない」だけにも思える。(もちろんその感情から恋に変容することもあり得る。)

 

次に、田所の場合。

田所も「知りたい」「気になる」を抱えている。これは、隠されている事柄がある(ことに気付いてしまった)からだ。少なくとも、田所は今のところその認識のはず。メイがナギサさんに抱えているものと根底は同じだと思う。

ただ、これも少し恋とは断定しがたい。メイのことを知りたいとも捉えられるし、ナギサさんのことを知りたいとも捉えることができる。

誰だって、嘘をつかれていたと知ると、少なからず動揺する。

薫は怒った。それはメイとの関係を「嘘をつかない関係」と捉えているから、自分が感じたのとメイの行動との距離感の差が怒りに繋がった。

でも田所はどうか。メイに突撃もしないし、直接聞くこともしない。なぜ嘘をついたのか問い詰める立場ではないと自分で理解しているから。自分に知る権利があると考えるのはまだ傲慢だと思うくらいの距離感だという認識だからだ。

そこがメイとの大きな違いだと思った。メイは、ナギサさんに教えてもらえる立場だと認識し、田所は、メイに教えてもらえる立場ではないと認識している。

自分が感じる相手との距離(また、相手が自分に感じていると認識している距離)の認識によって行動にこれだけ差が生まれる。

 

「知りたい」という感情ひとつ取っても、これだけの差があり、それだけでイコール恋愛感情だと決めつけることができない奥深さを感じる。各人が「知りたい」に振り回されているのを見るのもラブコメの醍醐味かもしれないとも思った。

 

2.わかってほしい

メイがより好意(恋愛感情とは限らない)を抱く対象が田所ではなくナギサさんなのはなんとなく見えてきた(俗っぽく言えば「ナギサルートに入った」状態)が、

ナギサさんがメイを恋愛対象として見るイメージは全く湧かない。
その理由が、「わかってほしい」がないからだ。

 

たとえば、Twitterでも散々見かけるが、非言語で察してもらおうとするカップルや、怒りで相手を自分の都合の良い方向にコントロールしようとするカップルはこの世にごまんといる。その根底には、「わかってほしい」がある。

好きな人には、自分のことをわかってほしい。

わがままでも、子供っぽくても、好きだから機嫌を取ってほしいし、好きだから言わなくてもわかってほしい。相手のことも把握していたい。(「知らないことが多い方が楽しい」という関係を否定するわけではありません!そういうのも好き!)

特に、「怒り」の先には「関係の変容」を期待していると個人的には思う。気に入らないことがあって怒った先に期待しているのは、相手が変化すること。謝ったり、説明したりして、怒る前と違う関係に変化する。

手帳に触れられたナギサさんが、明らかに不快感を示したのに怒りもしなかったことから、ナギサさんはメイに理解してほしいと思っていないんだなと思った。

ナギサさんは、理解してもらった上でメイと新しい関係を築こうとしていない。雇用主と家事代行という関係から動こうという意志がない。関係に一切の変化を求めていないから、怒らなかったのだ。それは、怒っても無駄とも、怒りを伝える必要がないとも言える。

「理解してくれなくていいよ」なんて、相手に一切期待しない諦めた態度は、恋愛とは最も遠く見える。

 

ナギサさんに「わかってほしい」がない以上、ナギサさんがメイに向かって進むことはない気がする。ナギサさんを突き動かすエピソードがない限りは。

 

今後の恋の行方

正直、ナギサさんがメイを好きになる感じも、メイが田所を好きになる感じもない。

前回の感想でも書いたように、

恋愛ドラマとして始まったからには、成就という結末が欲しい気持ちもある(8割)んだけれど、一緒にいたいと思った人と必ずしも結婚という形を選ばなくてもいい時代であることを描きたいなら、男の人が出てきたからって必ず恋愛してくっつくわけじゃないよ!って終わり方になってもおかしくはないなと。

恋愛の成就に帰着しない新しいドラマを目指している可能性もまだあるなと思う。男女の人間関係は恋愛ばかりではないというメッセージを伝えたいとか。TBS火曜10時ってそういうテンションだし。(メタだな〜。)

今のところ、田所は土俵に上がっていない(メイに興味を持たれていない)が、まだ巻き返せる話数だし、お前にはまだ転がり出たゴミ袋というブラックボックスがある。期待している。一応。

 

その他

全体的に、友達に大事な情報を隠されていた不穏さ、ナギサさんについての嘘がバレる不穏さ、四角関係の不穏さ…シェフの気まぐれ不穏〜不穏ソースを添えて〜と言うくらい不穏な空気が流れていてしんどい回だった。でもその分関係性が大きく動いたとも言えるかな…。

誰と結ばれるかというより、どういう関係に落ち着くかが気になる。

 

無理をさせない新時代の上司は、非常に良かったけれど、チームの進捗を把握できていないのは不安だなあ。

上司、とても理解があるように見える反面、メイに出世を押し付けるような言動も見られるので、底知れない人間だなと思う。安心できない〜。

 

 

 

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