つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

私たちはどうかしている第6話感想〜火事だっつってんだろ!〜※原作ネタバレあり

前回の感想

 

 

 

主観による評価

★★★☆☆

 

原作でも、いや火事だぞ逃げろ?と思っていたけれど、映像だとマジで「いや早くしろや」感が強い。

ドラマの時間の経過が漫画より現実に近いからだろう。漫画のモノローグは時間が止まっているように感じるが、ドラマだと現実と同じだけの時間をかけて心の中で話しているように感じてしまう。

考えている時間が無駄に見えてしまうのだ。

タイムラインも、みんな「は?」「逃げろや」「火事やぞ?」「火事って言われてるだろ?」ってなってたのがクソ面白かった。

 

しかし、展開は概ね原作通りなのだが、炎の中で互いを思う椿と七桜のシーンが切なかった。

映像だと、燃え盛る炎の中で、失いそうな意識の中でも求める切羽詰まった様子がよく伝わって来た。

単純に考えれば2人は両思いなのだ。なのに告白してハッピーエンドになれない。本当の気持ちを安易に伝えることもできない。それを許さないのは気持ちではなく環境だ。

このドラマでは、多くの人が嘘をついている。嘘をついて、自分を守っている。それは七桜も椿も同じ。

その中で、たった一つの真実は椿と七桜の「気持ち」だ。

理性で嘘をつく中で、感情だけが正直に互いを求め合う。なのに感情を最優先にできない2人。

炎の中という、命を失いかねない極限で考えるのはただ一人。だからその気持ちに素直に従えたら良かったのにと悲しくなった。

 

そして1話から思ってはいたが、今回は今までで一番お菓子の美しさを感じた。

夕顔は美しく、美味しそうだった。

病院で知らない女の人にたった二つしかない和菓子の一つを分け与える星の王子様か?みたいな少女のくれたお菓子も美味しそうだった。

どうしても漫画ではカバーできない部分を、ドラマの強みを生かして描いてるなあ。

それにしてもよく二つしかない和菓子のうちの一つを知らん人にあげられるな…清いな…。

 

あとこれは困らない(と思う)程度の原作ネタバレなんだけど、原作だと倒れた七桜を多喜川にバトンタッチするまでお姫様抱っこして運ぶのは城島だったので、私は高杉真宙のお姫様抱っこが見られるものだと非常にワクワクしていた。

なのに、多喜川が、来た。

倒れた現場に来たら多喜川が抱っこするしかないのに。どうして来た。どうして来たんだ多喜川。

そうか、そうなのか。高杉真宙はお姫様抱っこがNGなのか。なら仕方ないな。

仕方ないけど見たかったな…。

 

あとは、さくらだと告げられた女将の笑いが不気味でよかった。観月ありさ最高だな〜を毎話更新していく。

あと、原作ではあんまり感じなかったけど、旦那様普通にクズだな。

愛を諦める覚悟もねえのに結婚するな!最低!理性なし!鈴木伸之!(?)

 

しかし7話にして原作9巻のエピソードに入るんだからマジで爆速。ドラマだけ見ている人がどういう感想なのか気になるわ。

 

 

 

原作ネタバレあり感想(ネタバレ注意)

今回は、原作7巻途中〜8巻ラスト。

ただ、原作では8巻ラストの時点で椿が「七桜も幸せだろうから俺も目の前の人を大切にしよう」と考え、自分のために色々してくれる栞をデートに誘っている。

栞と椿の会話が原作より減ったため、椿から栞への感情の成長がかなり遅い。

ドラマでは「七桜、幸せだろうな」にとどまる。栞が椿へあまり積極的になれなかったというのも大きいんだろうけど。

 

とにかく栞が一番原作と印象変わりそう。f:id:tonsemgarden:20200916234412j:image

朗らかなところやおっちょこちょいなところが削ぎ落とされて、「家の中で立場が低かった自己肯定感の低い暗い子」になってしまっている。

椿の湯呑みを毎話サブリミナル的に挟んでいたので、栞と椿のエピソードにより説得力を持たせたいんだなと思っていたけど、別にそうでもなかったんだな。

うーん。城島との絡みも期待してたんだけどな。

厨房で城島が栞に冷たく接するシーンもなかったし、そのあと椿の部屋でも別に何もなかった。

尺の都合でサブキャラの恋愛はカットなのかな?

そのわりに、原作では椿に伝えずにモノローグで済ませていた椿の花の絵付けのエピソードをわざわざ説明する強かさは付加されている(笑)

ノローグだったところがセリフになることはこのドラマは多いかもしれないね。

 

原作では、7巻終盤の火事で椿と七桜が離れ離れになったあと、

  • 七桜:流産→3年後、菓子職人として働く(7巻ラスト)
  • 椿:火事から10ヶ月後の椿→栞と椿が少し近づくエピソード→3年後、光月庵で働く栞(8巻冒頭から中盤)

と、七桜の現在と椿の過去が前後し、時系列がバラバラになる。この辺りは漫画の順番じゃなく、時系列で描かれるだろうなと思った。

椿10ヶ月後→オリジナルで七桜の3年間?→栞と椿少し仲良くなる→椿と七桜の3年後、みたいな。

まあ、実際には椿の3ヶ月後の様子と、栞と仲良くなる程ではない関係を築く様子が描かれ、3年後になったが。

なぜそう思ったかというと、漫画だと時系列ぐちゃぐちゃでも情報が表示されるのでわかるけど、ドラマだと一瞬目を離したらわからなくなるので。

それこそ「一方椿は」「七桜の3年後よりも2年前のことである」を聞き逃したらついていけない。

特に、同じ回でやるとなると映像は厳しい。過去であることは映像で示せても、3年前と2年2ヶ月前を効果的に表現し分けることは難しそう。

原作同様、火事の回のラスト(ドラマ6話ラスト)に七桜の3年後の姿、次の回の冒頭(ドラマ7話冒頭)に椿の10ヶ月後の姿、だとしても漫画ほどわかりやすくはなさそうだと思っていた。(あれ?前回3年経ってなかった?これいつのこと?ってなる。)

お菓子の表現なんかはドラマの圧勝だが、文字情報はやはり漫画が強いと感じる。

 

なので、ドラマで時系列がわかりやすくて良かった。上手く並べ替えたなあ。

原作だと椿と栞のやりとりが火事の10ヶ月後だったのが、ドラマだと3ヶ月後だったからか、女将が栞に「ここで働き始めて2年間」と言っていたセリフが「3年間」に変化していたけど、その辺は特に重い意味ではないと思う。

 

上手いといえば、映像としての行間の埋め方もかなり良い。

椿が壁ドンするときにろうそくを持ってない、お菓子をくれる子どもが母親に呼び戻されるなど、行間を映像としてちゃんと補完している。

(原作だと壁ドンした時点でいつの間にかろうそくごと消えている。置いた?)

子どもも、あのまま消えたら「あの子なんだったの?」「妖精?」と思われるだろう。

時間的連続性のある媒体で表現するための補完はかなり意識されている気がする。

 

そして、今回一番楽しみにしてたところ!

f:id:tonsemgarden:20200916233235j:image「嘘…だよな?」の顔、横浜流星の切なげな顔がすごく良かった。

椿が感情を出すシーンだから、すごく楽しみにしてたけど、期待以上!

前回の感想でも書いたけど、頬に線を入れられない以上実写では瞳や口角で表現するしかないだろうに、漫画と同じだけの苦しい気持ちを感じたので、横浜流星!!!!と思った。

 

今回の原作との違い。

  • 茶会で栞さんと初会話(ひどくない?茶会で初めて話すとかびっくりするじゃん。もうちょっとリラックスした状態で話させてあげてほしかったよ?)
  • 「目に焼き付けておきたい。椿の作るお菓子は全部」がモノローグじゃなくセリフに
  • 城島「七桜さん、何か悩んでますよね?」→「俺じゃダメですか?」というちょっと恋愛色の強いセリフ
  • 女将が樹を思い出しながら涙する
  • 椿の父親の回想が、回想→声かけられるではなく、声かけられる→御座見に行く→回想の順になる
  • 女将の回想がセリフに(そりゃモノローグじゃ七桜には伝わらないし)
  • さくらの告白を聞かれた七桜の「椿…」に対して、原作では言葉を失っていた椿が「さくら…」と呟く
  • 「どうして」と椿が尋ねて七桜が「違う」と言う&キスしない
  • 原作では椿から「出るな。言いたいことは後で聞く」と言うが、七桜から待つと言い出す
  • 女将の「大旦那がいなくなれば」がない
  • 姫抱っこが多喜川になる(城島ァァァァァ!!!!)
  • 椿と七桜が炎の中でお互いを思い合うシーンは入り乱れる
  • 多喜川と城島の会話に、椿の意識回復についての会話が追加される
  • 栞さんが雨の中教室に来たエピソードがない。とにかく全体的に栞が暗い。原作の朗らかさがない。でも現実に婚約破棄されたらあんな風に朗らかにはなれないのでいいと思う
  • 女将の「自分を愛してくれない人を愛するのは茨の道」という栞へのアドバイスがない
  • 栞さんが父親へ言い返すのが婚約者の前。「牡丹は赤にしたい」→「着物は赤にしたい」
  • 栞の姉たちの会話がない、栞の野宿がない栞の父親が怒鳴り込んでこないなど、栞の環境の描写が少ない
  • 原作では椿の花の絵付けのことで惚れたことを話さないが、ドラマでは椿に伝えている(暗いくせに強か!)
  • 城島が栞に冷たくするシーンがない(仲良くなるための布石なのに!)
  • 原作では2年なのに「うちに来て3年が経つのに」に変更
  • ノローグだった、七桜の現在を思い浮かべる話を、椿が城島に語りかけている
  • 栞と椿のやりとりが減った
  • 女将の栞への狂気も減った

 

最後、原作では七桜が髪を解いてロングヘアになっていることで3年の経過を感じさせたが、今読み返してみるとなんで多喜川さんと話しながら急に髪を解いたのか意味がわからないから映像では省略したんだなと思った。

メイク?髪型?で大人っぽさを感じた。浜辺美波が少女から女性になった感じがして良かった。

 

女将と大旦那の会話はほぼ同じですごかった。あのとき→25年前、になったぐらい。そのせいで「降らぬ先の傘」がちょっと浮いてたけど。

女将が涙したのはいい改変だったと思う。やっぱり浮気性の鈴木伸之は悪。

 

一方で、椿と七桜の関係は原作より青くなっていた気がする。

まず、椿が「待ってろ」と言わないところ。

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なんというか、裏切られて腹も立ってるんだけど、信じたい、許したいと考えていることが伝わってくる素敵な命令だったと思うんだよね。

他は原作に忠実なのにここだけ微妙にニュアンス変えたのはなんだったんだろう?

あとは、「おまえはずっと何も感じてなかったんだな」がなくなった。

えっなんで?セックスもしたし妊娠もしたのに今更?今更「感じた」だけNG?

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「感じた」というキーワードがなくなったので、「好きだった」に変わったという青い言葉に変わってしまった。

あと「感じなかった」ことを痛感するためのキスもない。なんで…。

椿と七桜の「どうかしている」関係の描き方は甘かったなと思った。

嘘ついてるのに感じてしまうからどうかしているのに…。

 

来週は栞さんが!裸で…!

椿と七桜の気持ちが「どうかしている」になってしまう大事な期間なので、楽しみ。

 

 

 

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