つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

私の家政夫ナギサさん第2話感想〜仕事と家庭の両立は権利だけど義務じゃない〜

「やれること」と、「やりたいこと」。

どちらを「すべき」かなんて、人に決められることじゃない。

でも、能力のある人や、権利のある人を見ると、頑張れって言ったり、期待したくなったりするのも、仕方ないのかな。

 

前回の感想

 

 

 

主観による評価

★★★☆☆

先週のメイの「どうして家政夫に」という疑問も同じで、人はどうしても、「できる」ならした方がいいって考えてしまうんだろうな。

他に選択肢があるのに何故?って。

三菱商事にもトヨタ自動車にも内定が出たのに地元の中小企業にするの?

ピアノがこんなに上手なのにテニスをするの?

勉強がこんなにできるのに大学に行かないの?

何色を好きになってもいいのにピンクがいいの?

男性で他の仕事もあるのになぜ家事なんて仕事にするの?

女性が働ける時代なのにどうして働かずに家庭に入ろうとするの?

共働きできるなら共働きすべきじゃないの?

形や性別が違えど、こういう正解のない「すべき」で苦しんでいる人は結構いるんじゃないだろうか。

男でも女でも関係ない。明確な言葉で否定されるわけじゃなくても、なんとなく今と違う仕事・今と違う自分を望まれていることが伝わってくる辛さ。この人は、今の自分では満足してくれていないという、プレッシャー。

もしくは、自分自身が変わりたい時でも、今のままでいてほしいという気待ちが伝わってくる申し訳なさ。

共働きの権利があったって、専業主婦になっていい。男だって、家事を仕事にしていい。

新しい権利や新しい選択肢は、従来の選択肢を押しのけて増えるわけじゃない。

選択肢が増えたとき、従来の選択肢は、選んじゃいけないものになるわけじゃない。

昔ながらの選択肢も、これからの選択肢も、等しく目の前にあるはずだ。

 

重要なのは、現実では、スカッとジャパンのように白黒つけられるわけではないということ。

最近は、特に、ハケンの品格のような白黒つけるドラマより、曖昧な落とし所を見つけるドラマが増えているように思う。まるで現実のように。

パッと思いつくだけでも、「これは経費で落ちません!」「わたし、定時で帰ります。」あたり。

人と人との間の摩擦は、どちらかを懲らしめることで終わるわけじゃない。

だから、メイとお母さん、メイと支店長の価値観の摩擦も、どちらが悪いというわけでもないし、悪者を決めないと終われないわけでもない。

でも、押し付けられたメイは苦しんでいる。

そこに対して、「でもお母さんも悪くないよ?」「お母さんもあなたのこと思ってくれたんだよ?」と言うのは暴力だと思う。

じゃあ、この摩擦はどう落とし所を見つけるんだろう?

それがどう描かれるのかがとても気になる。

今も、至る所で、家を出たくなるくらい価値観の違いに苦しんでいる人もいれば、そこまでではないけど親と価値観が合わないなあと困っている人もいるだろう。

そういう人たちのための、一つの解答になるんじゃないかと楽しみにしている。

 

しかし、妹は、素直に姉思いで素敵だな。ちょっと強引だけど(笑)

メイは「やればできるならやらなきゃ」という呪いにかけられているから、妹のような「普通の幸せ」を素直に求められない。お母さんの期待通りでありたいから。

お母さんの期待通りに成長できなかった妹だからこそ、その呪いを物ともせず、メイに「こっちの幸せもいいんだよ」って柔らかく教えてあげられるんだろう。

今回、1dayの家事を頼んだから、今後もなし崩し的にお願いすることが増えるんじゃないかな?

「1人でできるなら1人でやる」と、助けを求められないメイに、「誰かを頼っていい」という価値観を少しずつ教えてくれる。

1回だけ頼もう。もう一度頼もう。もう一度…あれ?誰かに頼るって楽じゃない?

そうやって気付けるきっかけを与えたのは、紛れもなく妹だと思う。

呪いの崩れていく音がしている気がした。

 

総じて言えば、今回もいい話だった!

ただ、別にナギサさんのことそんなに隠さなくてよくない…?とは思った(笑)

掃除してないのがバレるのは嫌なのはわかるよ!怒られるし!

ただ、「妹が誕生日プレゼントとして掃除サービスを贈ってくれた!誕生日くらいゆっくりしてって」と誤魔化すくらいできたのでは…?

お母さんが妹を勘当したからって、メイも会ってないふりしてるのかな?

 

当て馬の星の下に生まれた瀬戸康史

やなやつ!からの敬意とトキメキはラブコメの定石なんだけどなぜこんなに当て馬の臭いが強いんだ瀬戸康史!!!!!

それはお前が瀬戸康史やからやー!!!!!!!!頑張れよ!!!!!!!!

おじさんの過去によっては…アリやぞ!!!!!オイッ!!!!!!!

 

その他

毎回すごくかわいい!稼いでる女性がちゃんとお金かけてる感じがする。

 

「なぜドラマに登場する母親は約束の時間より早く現れるのか(土屋,2020)」

 

追記:逃げ恥とわたナギ

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(もう少し綺麗に撮影しなさいよ…)

逃げ恥の再放送がやっていたのもあって、視聴中に逃げ恥を思い出すことが多い。

私は逃げ恥が大好きだし、あらゆる窮屈さや苦しみの解決策の一つを示す、素晴らしい社会派ラブコメだと思っている。

でも、わたナギはそれに引けを取らない、むしろさらに大きな視点で今の社会の問題を見ていると思う。

冒頭の図にも書いたけれど、逃げ恥では、どうしても、「(たとえ仕事としてお給料をもらっていても)家事の主体は女性」という常識を前提にせざるを得なかった。

ちなみに、最終回ラストのダーツシーンで、平匡さんの専業主夫の選択肢もあったから、意識していなかったわけではないと思う。

それでも、あのドラマでも拾いきれなかったものがあったんだ!と、わたナギを見ていて気付かされた。

 

そして、今思うと、逃げ恥も、「男女の婚姻」を一つの到達点として描いている点で、世間の常識を大きく逸脱できなかったんだろう。

それを契約として扱うとどうなるかをシミュレーションしているドラマだから仕方がない。逸脱しない範囲でしがらみからどう解放されるかを描いていたのだからあのドラマはあれが最適解だと思う。

これは悲しむことではなく、逃げ恥のあともたくさんのドラマが、多様な価値観を示し続けてきたということで、喜ぶべきことだと思っている。

 

 

 

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