つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

MIU404第6話あらすじネタバレ感想〜「せい」を「おかげ」に変えるスイッチ〜

前回の感想

 

 

 

主観による評価

★★★★☆

 

ドラマの叙述トリックと、見たものをそのまま信じる私たち

まず、ドラマで叙述トリックをするだけでもすごいのに、ミスリードが幾重にも重ねられていて、今回は感動とかの前に驚きがただただ積み重なっていた。今までの回とは異なる、「裏切られたぜー!!!」いう面白さだった。

だって、私はあの女が南田だと思い込んでいたし、志摩が考える映像なら実際の過去なんだろうって思ってたよ。志摩は賢いから、ありもしなかった過去を映像として捏造するなんて思ってもみなかった。

伊吹に電話で語るときも、途中までよくわからなかった。えっ?屋上行ってたじゃん。えっあれは…えっ妄想?マジ?え???って感じ。

裏切られて楽しかった。

 

でも、前の感想でも書いたけれど、このドラマは「なんとなくでエンタメを消費させないぞ?」のドラマだ。

叙述トリック面白かったー!では終わらない。終わらせてくれない。毎回、自分の中の痛いところを突かれて、見たくもなかった内面に向き合わされる。目を逸らしたいものばかり。

今回も、見せ方で簡単に騙される情けない自分に気付かされてしまった。

「南田という女が逮捕された」という情報を提示し、ハムスターを意味ありげに映しておくだけで、私たちは勝手に補完して「信じたいもの」を作り上げる。

ニュースの見出しで、少し刺激を与えられただけで踊りはじめる。それでいいのかと言われている気がした。

警察だ!と駆け下りた香坂の姿も同じだ。通報したという事実だけで勝手に空想した。誰も見てはいないのだ。あれも、「こうあってほしい」だけの志摩と伊吹のイメージ映像だと思うと、「信じたいもの」の奥にある真相なんて、誰も傷つけないなら探らない方がいいのかなと少し思った。

 

九重とスイッチ

振られて死のうと向かったビルの入り口で迷子を保護したとか、お腹が痛くて欠席した飲み会で食中毒が発生したとか。そんな簡単なことも全部、その時点を切り取ったらマイナスだけど、どんなプラスを引き起こすスイッチになるかは誰もわからない。

穴埋めに選ばれたのが破天荒な伊吹じゃなかったら。志摩の過去を探ろうとしなかったら。どれが欠けていても、「できない奴だと思われたくない」という言葉は引き出されず、「失敗も言え」と陣場に言われることはなかった。

トラブルメーカーの伊吹が加わったこと自体はマイナスでも、生み出された結論はプラスになるのかもしれない。

彼は後悔を描かれるだけの存在じゃないかもしれない。そう思えた。ああ、スイッチって、バタフライエフェクトなんだな。

 

成川にとっての九重もきっとスイッチだったのだ。そう思いたい。

すごく希望を持って極端に考えるなら、あそこで成川が九重に捕まっていたら、家に帰っても気持ちが燻って、家出して、違うタイプの犯罪に巻き込まれて、命を落としていたかもしれない。(多分成川は生きて九重の前に現れるだろうという前提だが。)

それが、あそこで見逃されたおかげで、捕まった場合とは別のスイッチに出会い、最終的に4機捜の前にもう一度現れたときに、救うことができるかもしれない。

スイッチは多分、「せい」を「おかげ」に変えることもできるんだ。

志摩は自分が駆け付けなかったせいで相棒を失った。でもその後悔があったおかげで、伊吹と出会えた。後悔なんて無い方がいいけど、意図的に後悔しない選択肢を取り続けるなんてできないのだから、後悔を解消できるスイッチに出会えたことを喜びたい。

伊吹のおかげで、相棒の死が帳消しになるわけではない。志摩も許されたいわけではない。でも、少し見え方が変わる。それがスイッチ。

 

弱音を吐ける信頼

恋愛がうまくいかない自虐的な弱音を聞かせられるって相当の信頼じゃない?

もちろん、香坂のもとへ行かなかった後悔を電話で語ることからも信頼を感じたし、香坂に「お前の相棒が伊吹なら」と語りかけるのも信頼と憧れだと思うけれど。

今まで、恋なんかしてませんとはぐらかしてきた男が、心の中じゃなくて声に出して、「はいはい、かわいそうですね」のやりとりを楽しもうとしたんだよ。

人として心を許しすぎていて、愛しい。伊吹、絶対死ぬなよ。

 

ただ、志摩が伊吹に心を許したというスイッチと、伊吹が電話をかけたというスイッチの結果、盗聴器に気づかなかったというスイッチを生み出したかもしれないと言っているツイートを見て、震えた。俺があのとき見ていれば、という後悔に繋がってしまうのだろうか。

些細なことが大きな後悔に繋がる残酷さを描きすぎだよ。勘弁してくれ。つらい。

 

志摩と桔梗

どう思う?(知らんがな)

あれが出会いだったらエモすぎて吐くんだけど…。でも息子の年齢から考えると、あの時点で元旦那と出会っていた可能性は高いよね…。

ハムちゃんに、お前はこんな可愛いところ知らないだろ?ってマウントとられてて、あまりにもかわいそうだった…。

追記

ということは好きな女に一瞬でも疑われたという別のエモがあるな…。(なんでもアリか?)

 

↓放送前

全然なさそうで草。

でも、志摩にパパになってほしいという発言にすぐに「ないない」と返したのは、自分に言い聞かせているようでもあるというツイートを見て、それもいいな…と思った。

 

↓放送中・後

 

その他
  • 「俺が死ねばよかったんだ」と思うようなベテラン先輩を喪ったんだとばかり思っていたが、新人を制御できなかった己を責めるような死だった…。
  • 第1話の、自分を正義だと思っている奴が嫌いという発言は、まんま元相棒のことだったんだな。
  • 名前の由来、何かあるのかなあ。
  • 「前の奴と違って長生きするよ」という希望野郎だーいすき!
  • これすごい。悲しい。

 

追記:伊吹は救世主ではない

フォロワーが言ってたこと。

「伊吹は悪気なく"こいつなら救ってくれそう"を背負わされてる」

確かになと思った。伊吹だって、いつでもプラス方向のスイッチになれるわけじゃないんだよね。そして、今回だって、志摩が前向きに進めるようになりはしたけど、死者を蘇らせたわけでもないから、志摩の中で後悔として続いていくことに変わりはないわけで。

伊吹があんな雰囲気だからみんな勝手に期待したり失望したりするんだけど、伊吹は救世主でもなんでもなく、万能でもない。

それを忘れてしまったら、「お前なら救えたはずだろ!?」という、無責任な一言に繋がる気がする。

志摩や伊吹が追いかけていたら成川は救えたかも?というのも誰にも分からなくて、むしろ捕まえ方によっては最悪の事態を招いたかもしれないし。

スイッチとなる人や物は、その地点に「ある」に過ぎず、そこにぶつかった人生のボールがどちらに向かうかは全く分からない。

伊吹というスイッチで悪い方向に曲がることだって当然あるわけだ。いいスイッチと悪いスイッチがあるわけじゃないんだ。

 

 

 

第6話あらすじ

  • 巡回中、相棒殺しという言葉を思い出す伊吹は、志摩と語らおうとするも断られ、駐車場でついに冗談で相棒殺しと声をかけ、無視される。それを見た九重は、事故か自殺か他殺かわからないから本人に聞くなんて信じられないと言う
  • 志摩の相棒は自宅からの転落死で、志摩が第一発見者だった。相棒は酒が飲めなかったのに遺体から香るほど飲酒しており、自宅マンションの屋上にはウイスキーのボトルがあった。伊吹は陣場に詳しいことを聞こうとするが、志摩が捜査一課に入る前のことだと答える。伊吹は志摩が捜査一課だったことを初めて知り驚く
  • 伊吹は志摩にさらに聞こうとするが、志摩は伊吹に関係ないとぶった切る。相棒だから関係あると返す伊吹。話せと言われて話す容疑者はいないのだから調べろと言う志摩が自分を舐めていると感じ、ぎゃふんと言わせてやると誓う伊吹。陣場は本気でほじくると心配するが、どうせ無理だと返す志摩
  • 伊吹は刑事局長である九重の父親の権力で当時の捜査資料を見せて欲しいと頼む。断る九重だったが、志摩ならすぐ調べるのにと煽られ協力する
  • 伊吹が噂を聞いた刑事に話を聞きに行くと、自分が一番優秀だと思っている鼻持ちならない野郎だったと志摩は評される。相棒だった香坂刑事が亡くなった日は、タリウム連続毒殺事件の犯人・南田の逮捕日だった。逮捕する数時間前に、志摩が殺してもおかしくない剣幕で香坂を別室に連れて行く様子を見た。逮捕には志摩と香坂だけが来ず、次の日志摩の通報で香坂の遺体が発見されたが、証拠は見つからなかった。初動捜査を担当したのは当時バディだった桔梗と陣場で、見落としはない
  • 桔梗は忙しく、自宅の給湯器の修理に立ち会えないが、自分がいないときにハムちゃん1人に対応させたくないと言う。志摩は代わりに立ち会うと申し出、家を訪ねる。ハムちゃんは、旦那について語る桔梗の表情は仕事中は見せない可愛さだと自慢する。旦那は、仕事帰りに通った居酒屋の店主で、仕事を忘れられる大切な時間だったと桔梗はよく語るらしい。桔梗の息子は男性が苦手だが、遊んでくれる志摩に懐く。志摩は、ハムちゃんのつけるバレッタを見て、南田逮捕の日を思い出す
  • 息子に顔合わせに来るなと言われ、1人で飲み荒れる陣場から話を聞き出す伊吹と九重。香坂の遺体が発見された日、志摩は何度電話をかけても出ないから訪れたら亡くなっていたと説明するが、香坂の飲んだ酒の銘柄を知っており、ビルの構造も知っており、来たことがあるような口ぶりだった。九重は、2人が南田を追っているときに諍いがあり屋上から落としたのかもしれないと考える。志摩が人は誰でも進む道を間違えると言ったことを思い出す九重。現場にあったという香坂の手紙は遺書ではないかと疑う
  • 伊吹は酔いながら志摩にふざけた電話をかける。志摩はすぐに切るが、桔梗の息子に出なきゃいいのにと言われると、相棒からのSOSだったら間に合わなかったら困ると返す。桔梗の家で昼寝をしていると、業者が到着する
  • 伊吹と九重は酒が抜けきらないまま署にいる桔梗に話を聞きに行くが、面白半分で聞くなと叱られる。相棒だと返す伊吹だったが、一時的な相棒で来年は解散する可能性もあると返す桔梗。伊吹は、自分が4機捜に入ったのがスイッチで、これまでの全てがスイッチなら、志摩と全力で走るためにも全て諦めたくないと言う。桔梗はシャワーを浴びるよう命じる
  • 桔梗は伊吹と九重に、志摩を4機捜に呼ぶために作った資料を見せる。見つかったのは遺書ではなく退職願で、正義を貫こうとしたがゆえに香坂が失敗したことが書かれていた
  • タリウム殺人事件で聞き込みを行う志摩と香坂だったが、容疑者の女はヘラヘラしている。香坂が適当な嘘をついたせいで、志摩の聞き込みを妨害してしまう。香坂は休みの日も女を調べるようになり、部屋に誘われ茶を口移しで飲まされる。香坂は容疑者のメールアドレスからタリウムを注文したメールを証拠として提示するが、志摩は成りすましを疑う。香坂はどうにかして証拠を掴みたかった。大きな正義の前に捏造は些末なことと言う香坂に、権力の暴走だと怒る志摩(噂していた刑事はこの時部屋に連れ込むのを見た)
  • 逃げようとした南田は逮捕され、部屋からタリウムも発見された。俺たちの手柄になるはずだったとぼやく香坂に、逮捕されたのは疑っていた中山ではなく南田だと告げる志摩。中山は捜査を撹乱するために挑発した態度をとっていただけだった
  • 伊吹たちは香坂のマンションを訪れる。香坂の傷は低所からの転落死。屋上からの階段の最後に足を滑らせて転んで頭を打つという、完全な事故だった。香坂は母子家庭で、母親のために退職願は隠蔽されお金が払われた。九重は、自分だったら使えない奴だと志摩に思われたくないから失敗を言えないと呟くが、陣場は間違いも失敗も言えるようになれと励ます
  • 伊吹は電話で事故だとわかったと報告。志摩は、肩を落として退職願を書く香坂に声をかけず、香坂が酒を飲む屋上にも行かなかったことを懺悔する。始末書を書いているのに屋上で飲もうと誘うことに腹を立てて無視をした。全てのスイッチを見ないフリした。最後にかけた言葉は「進退は自分で決めろ」だったことを後悔する志摩には事故だとは思えなかった
  • 伊吹は志摩に、屋上へ来るように言う。屋上から他のビルを見ると、香坂が亡くなった日に通報してくれた人を探しているという垂れ幕がかかった部屋が見える。香坂は、犯罪の瞬間を志摩を待ちながら目撃し通報したのち、駆けつけようとして滑って頭を打った
  • 部屋の主に会いに行くと、お礼を言うよう頼まれ、志摩は伝えておくと答える。志摩は香坂が亡くなった場所で香坂に謝罪する。まだウイスキーを飲めない。犯人に偉そうに声をかけるたび、自分こそが裁かれるべきなのにという気持ちになる。香坂の相棒が伊吹のようなやつなら生きてやり直せたのにと後悔する志摩
  • 伊吹は志摩に、刑事を辞めるなと言う。今辞めたら一生自分を許せないから、何度もブーメランを喰らいながら続けると答える志摩。伊吹は、生命線が長いから殺しても死なないと笑い安心させる。イラッとしたと言いながら泣くのを堪える志摩
  • 桔梗の家で、帰ってきた桔梗と一緒にバーベキュー。伊吹はハムちゃんにときめく。息子は志摩にパパになってほしいと言うが、桔梗はプライベートでも仕事の話をするから刑事は嫌だと一刀両断。志摩は警察同士の結婚も結構あるとぼやくが、桔梗の耳に届かないことを伊吹に笑われる。その様子を業者は盗聴している

 

 

 

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