つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

わたし、定時で帰ります。第9話感想〜バツイチ女上司抱いたなコリャ〜

主観による評価

★★★★☆

 

"弱いから壊れたんじゃない。無理して働き続けたら誰にだって起こること。"

 

誰だって、「君ならできる」と言われて悪い気はしないだろう。やる気が出るかは知らないが。(本性を知らない上司から言われたら。)

超絶不真面目な私だって、あなたにならできると思ったから任せると言われたら、「期待されているのかな。嬉しいな。」とやる気が出る。(パフォーマンスが向上するかは別問題。)

でも、足が千切れても腕が折れても働き続けられるわけじゃない。

効率的な労働は、睡眠で得られる健全な身体と精神の上に成り立つことがよくわかる展開だった。

 

東山さんは身体も精神も壊したことがあるから、睡眠時間が減ること、労働に人生を奪われることがどれだけ恐ろしいことなのか理解している。

でも、来栖くんは痛い目を見ていないからわからない。

来栖くんは、あの日の東山さんだ。あの日の種田さんでもある。

だから、2人とも、来栖くんがこの働き方を続けられないとわかっているけれど、怒鳴って帰らせない。

おそらく2人に言われても、来栖くんは、2人が今立ち上がって仕事をしている様子から判断してこの働き方を続けただろう。

「お二人とも大丈夫じゃないですか。だから俺もなんとか乗り越えられます。」と。(経験値が違うからそんなことはないのに。)

だから、愁くんの言葉が「考えさせる」ことに成功した。立ち直れていない人だから。

東山さんも種田さんも、弱くてダメになったんじゃない。働きすぎたからダメになった。

まだ立ち上がっていない愁くんに言われて初めて、「自分の身にも起こりうる」と理解したんだろう。

次回予告で東山さんが言っていた。

「仕事のためにプライベートがあるんじゃない。プライベートのために仕事がある。」と。

それを見事に表現した最終話を期待している。

 

そして、恋愛パートについて。

今回放送前に読んでいた記事。

そんなこと言ってる場合じゃなくなった。

 

ドラマを見慣れているせいで、先週の結婚祝いの会で怪しかったし、今回星印の前で遭遇した時に見定められている気がしたし、「実際の優衣ちゃんを見て勝てると思った」ようにしか見えないし、満を持しての「映画付き合おうか?」だと思ったし、その後の巧の表情・結衣ちゃんが帰宅したのに帰ってこない・何事もなかったかのように翌日のシーンで、女上司抱いたな〜〜!と思った。

あるじゃん…カメラワークと表情アップで匂わせるやつ…あるじゃん…。

自分だけ知らなかったブラック企業の過去、おんぶされて会社に行った事実(しかも隠されていた)、不安になる要素はたくさんある。そもそも元婚約者と同じ職場だ。

不安に負けて抱いたんか…オノレ…。

まあ、抱いていないかもしれないが、ホテルに誘われて「結衣ちゃんにも(元彼が上司なら)この可能性がある」と改めて思い知ったり、映画の後にお喋りして不安を煽られたり、バツイチ女上司の方がいいなと思ったり(これはなさそうだが)、結衣ちゃんが種田さんにおんぶされて会社で致したと思い込んだり(隠されていたから)した可能性はありすぎる。

 

巧の悪いところばかり視聴者には見えるが、結衣ちゃんもだいぶ甘えすぎている。

会社の人のためには走り回る。

でも、巧には、会社の先輩のお家にご飯を作りに来てもらう。協力してもらう。それは甘え以外の何物でもない。

会社の人は他人だから気を遣わないといけない、一方で恋人や配偶者は気を遣わなくても一緒にいてくれる。そんなわけはない。

結婚するとは言っても他人だ。どこまでいっても他人だ。だから思いやりは必要だし、甘え続けても許され続けるわけじゃない。配偶者はお母さんではないから。

甘えるなと言っているのではない。

何の努力もしなくても、何も与えなくても許してくれる存在ではなく、お互いに「相手は自分と続けていくために努力したり改善したりしてくれている」と思うからこそ成り立つ関係だと理解していることが、「甘える」の前提だろう。

何をしても離れていかない、許してもらえる、この人は家族になるからと思っていてはいけない。家族になるからこそ思いやりが必要なはずである。

 

本当は、もっと早く、元彼が上司になることを話し合うべきだった。

今更、「種田さんとはもう何もない」と話し合ったところで遅い。

「種田さんが同じ職場にいる」ことから生じる不安によって発生した出来事、生まれた感情、それらは話し合ったところで今更消えるものではない。

2人は初手を間違えた。

元彼が上司として職場にいるなんて誰だっていい気はしない。

困った時助け合い、成功した時喜び合っているなんて、いつ感情が戻るのかと不安になるだろう。

それは「私が好きなのはあなただよ」という言葉だけで片付けられるものではない。片付けてはいけない。

「もう何とも思っていないことを巧はわかってくれているだろう」ということが結衣ちゃんの一番の甘えだと思う。

そんなわけはない。巧はエスパーではない。「もう何もない」と言ったその口で、「種田さんに未練があります」と自分の知らないところで言っているかもしれないのである。

そんな「いわれのない不安」を招かないために、2人は言葉で共有しておくべきだった。

非言語コミュニケーションに頼れる部分ではなかった。それに気づけなかった。

トドメはやはり、おんぶのことではないか。

結衣ちゃんは、種田さんにおんぶされていた記憶がない。視聴者はそれをわかっている。

でも、巧は、「結衣ちゃんが認識していたかどうか」さえわからないのである。

種田さんといつも同じ空間にいる不安が、消せなくなってしまったとしてもおかしくない。

認識していて隠されていたのか(隠すということはやましいことがあったと疑う気持ちを消せない)、認識していなかったのか(それはそれで、種田さんの未練を目の当たりにして辛かろう)、何もわからない。宙ぶらりんで、「信じて待っていろ」という態度をとられる。

多分、男女逆にしたらこういうカップル、無限にいるだろう。不安になったのが巧(男側)だからといって女々しいと貶すのは、かわいそうだ。

 

個人的には、巧の浮気による幕切れだったら、クソドラマじゃん!と言うと思う。

それが主題じゃないはずだ。恋愛も「プライベート」の一部だから取り扱ったのではないか。プライベートの一部にすぎない要素だと思って見ていた。人は弱くて、心の隙を突かれて浮気をする?そんなドラマなのか?「浮気したから別れる」という終わりでいいのか?今まで描かれてきた「価値観の大きなズレ」「コミュニケーション不足」で充分じゃないのか?働き方改革と同時に、結婚観改革が起きていたんじゃないのか?

別れるなら、できれば巧が「耐えられなくなった」という理由で別れてほしい。

でもそれはリアルじゃない。

だってこういう場合、現実ではたしかに浮気しているだろうから。

でも、このドラマでは、「どの人の考え方も間違っていない。でも、身体を大事にしないと続けられない。仲間を信頼しないと続けられないよね。」と、人の価値観を否定せず、それぞれの働き方をよりその人に合うように軌道修正してきた。

だから、個人的意見だけれど、恋愛パートでも、リアルじゃなくていいから、誰も悪くないけど、それぞれもっと合う相手がいたし、誰も悪くないのに噛み合わなかっただけという形に落ち着いてほしい。

原作ファンのつぶやきを見ていると、「巧が毎話出てくるとは思わなかった」「原作と違う進み方」というものもあって、どう終わるのかはわからないようだった。

種田さんと「くっつく」まではあと1話ではたどり着かないだろうけれど、結衣ちゃんと巧については、憎まずに終われるといいなと思う。

 

 

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