つちや(仮)

大体当クールドラマ感想。たまに漫画、たまに旅、たまに雑談。

オススメされた短編集の感想①Daddy Long Legs/清々と/さがしもの

先日、

と呟いたところ、想定以上の数のオススメが届いた。

一気に買っても良いが、この量を積んだら永遠に読まない気がしたので、読み終わって感想を書いてから次を買うスタイルにしようと思う。

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Daddy Long Legs

Daddy Long Legs (クイーンズコミックスDIGITAL)

Daddy Long Legs (クイーンズコミックスDIGITAL)

 

めっっっっっちゃ良かった…。泣いた…。

読んで数ページで、「お茶の水を出たばかりのお嬢さん」「維新前のようなことを言わんでください」など、日本人ならその背景が自然と思い浮かぶようなセリフが登場して、なるほど落とし込みがうまいとはこのことかと思った。

しっかりと日本の物語になっていた。

明治維新から、少しずつ近代化する時代の物語が好きな人はかなり面白く読めると思う。

そして、少しずつ変化する手紙の文面や、会いにいかずにはいられなくなる「あしながおじさん」の様子で、惹かれ合う二人の気持ちが痛いほど伝わってきて、いつきが卒業した後、「今日もお嬢様からお手紙が届いているんですよ…」からは最後まで涙が止まらなかった。

きっとこの手紙を送られていた人は、本人がどんなに器量が悪くとも、顔を見た瞬間恋をしたことに気づいてしまうとさえ思う、手紙の文面の変化。設定を日本に上手にローカライズしているところ。

名作だった。私も多分、短編集すすめてって言われたらこれ挙げる。とてもわかる。

もちろん原典があるからというのもあるだろうけれど、「日本版」として素晴らしかった。

 

そして、表題作以外も面白かった。

特にパーラーが好き。

「プレゼントされればされるほど彼女は遠ざかっていくんだよ。だからもう何もしてくれるなよ。」からの「下心があったから受け取った」「手ー出したら来なくなるって思った」が最高。

接点を失いたくないがゆえに慎重になりすぎた不器用な大人の男女の話。

あと、名前見て気づいたけど「マリーマリーマリー」の先生だ!

 

 

 

清々と(さやさやと)

清々と(1) (ヤングキングコミックス)

清々と(1) (ヤングキングコミックス)

 

とりあえず1巻を読んだ。

特に第4話がめちゃくちゃ好みだった…。

私が邪なために恋愛描写にはしゃいでしまったが、恋愛主軸ではない。いや、恋愛物語ではあるが。

思春期の心の成長、友達との摩擦、読んだ人が自分の青春時代を思い出すような話たち。

恋の向こうに待っている自分の心の平穏がメインテーマなんだと思う。恋をして見える世界が違って見えるような。

タイトルの通り、清々しい気持ちになるようないい短編集だった。2巻も読む。

 

「せいせい」ではなく「さやさや」なのはなぜかと思ったが、主人公の名前が清(さや)だからかな。

第1〜3話は、現代の「清」を中心とした物語。

目標はないけどなんとなくみんなに置いていかれるのだけは不安。そんな15歳の女の子・清の、不安と静かな花園で「好きな人」と見つける楽しみが、優しく描かれている。

ぼんやりしている先生の、優しい魅力を主人公が見つけてしまう話に…弱いんだよな…。

バッチバチにかっこいいみんなのアイドル先生と恋しちゃう話も勿論好きなんだけど、「えーっ!なんであんな先生が好きなの!?」と同級生に驚かれてしまうくらいの地味な先生の中身に惚れ込んでしまう話も好きなんだ…。私だけが知ってる先生のいいところ…。

地味な先生が影でタバコ吸っている"わるいひと"なのも好きだし、地味な先生の中にあるぼんやりした暖かさに惹かれるのも好きだ。まあだいぶ「7時間目ラプソディー」を想定して話しているが…。

そういえば、最近読んだ「馬姫様と鹿王子」と、「押して駄目なら押してみろ!」も、ぼんやり系の先生だな。

話めちゃくちゃ逸れた。

清の友情の話も、ツンケンした女教師が清や「ぼんやりしていて嫌いだった」先生の言葉で救われる話も良かった。

この二人で本八幡先生取り合う展開が来たら胃がキリキリしちゃうけど、2巻とかにあるのかな…キリキリ…。

 

で、私の好みの第4話は、お見合い相手のお嬢さんが潑剌としていて好きになってしまう、お見合い結婚と恋愛結婚を兼ねた欲張りセットのお話だった。

職業婦人、好き。

そしてこの物語の登場人物が、第3話にも出てくるという演出は、つながりのある短編集ならではで素敵だね。

 

 

 

さがしもの

さがしもの (新潮文庫)

さがしもの (新潮文庫)

 

1話あたり10分くらいで読めて楽しい!

「本」というアイテムを共通点としているから、身近で共感できるところもあったし、今後古本屋で本を手に取るときには前の持ち主のことを思い浮かべるだろうなと思った。(「だれか」)

前の持ち主がどんな人だったかを想像するのも、古本の一つの醍醐味かもしれない。

「旅する本」では、同じ物語でも自分の人生によって見える物語が変わる様子が描かれていて、私も小さい頃大好きだった絵本や本を読み返したいなと思った。

昔は嫌な大人に見えていた登場人物も、合わない人と働いたり合わなくなった人と友達をやめたりした今なら、まったく違って見えるかもしれない。

それぞれの話に、自分の身にも覚えがある物語や、自分では言葉にできない曖昧な気持ちを表す一文があって、私もまた、出会えて良かったと思える本を手にしたんだなと思った。

漫画中心の私でさえこう思うんだから、本好きな人は絶対「わかる!」って思いながら読めると思う。

まだ全部読んでないんだけど、急いで読む物語ではなくて、一つ一つ自分に重ねて大切に読みたいな。

もし通しで読んで印象が変わったらまた追記する。

紙の月や、八日目の蝉みたいな、毒のある物語を描く人だと思っていたので、ちょっと想定外でいい本だった!

 

 

 

ということで、第一弾は3冊でした!

全部味があって良かった〜!

オススメありがとうございました!